連載
「言論」を力で抑え込めば「ヘイト」が生まれる:窪田順生の時事日想(2/4 ページ)
超党派の議連が今国会中に「人種差別撤廃基本法案」(仮称)を提出しようとしている。ヘイトスピーチを規制して「差別を許さない空気をつくる」そうだが、筆者の窪田氏は「『規制』などしてもそんな“空気”が生まれるとは思えない」と考える。その理由は……。
「怒り」を増幅させていく原因
“場当たり的な規制”が「不満」と「怒り」を招き、当局が制御できないほどの武力衝突を招いてしまったというわけである。
自分でもすっかり忘れていたが取材後、私は彼らの「怒り」を増幅させていく原因をこのように分析していた。
そして、それは「偏向メディア」によってさらに増幅される。「人間の鎖」のみなさんや「従軍慰安婦」はマイクを向けられていたが、保守系市民の主張はやはりマスコミはスルーしがちだ。そんな不平等さは、さらなる怒りを生む。間違いなく2012年、「市民」たちの怒りはさらに膨張する。
つまり、「ヘイト」を増幅させるのは、権力やメディアが醸し出す「不平等感」ではないかということだ。
在特会を批判する知識人なんかは、「ヘイトスピーチは言論のテロ」なんて仰っている。まがりなりにも一市民をテロリスト呼ばわりするのはいかがなものかと思う半面、確かに「テロ」と「ヘイト」に共通点が多いのは否めない。
歴史・民族問題が背景にあることに加えて、力で制圧するとかえって勢いづくなんて点はソックリだ。例えば、今や世界中から「テロ国家」と目されるイスラム国((ISIS)などは分かりやすい。米国主導の空爆が行われており、従軍メディアは「効果がある」とか「何百人殺した」と毎日のように報じているが、一方で空爆をきっかけに、これまで以上に過激な外国人戦闘員が合流しているという。
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