「誰でも自在に操れる」――新型スポーツカー「RC F」に込められたレクサスの伝統:開発者インタビュー(5/5 ページ)
レクサスブランドとして実に4年ぶりとなるスポーツクーペタイプを発売したトヨタ自動車。その中でもフラッグシップモデルに位置付けられる「RC F」の開発責任者に、ジャーナリストの神尾寿氏がその魅力を聞いた。
「かっこいいオヤジ」になれ!
――レクサスのようにブランドを体現するクルマだと、進化しながらも継承されるものを守っていくことが重要だと感じます。さて、クーペは特別な空間演出が必要であるため、インテリアに対する顧客の期待も大きいと思います。この部分で注目すべきところは何でしょうか。
スポーツカーにとって重要なのは、ドライバーとクルマがコンタクトするポイントだと思います。具体的には、シート、ステアリングホイル、メーターの3つです。これらを専用化するというのが我々の思いです。
メーターは、LFAで搭載したものを採用しました。ドライビングセレクトモードという機能があって、エコ、ノーマル、スポーツ、スポーツプラスという4種類それぞれでメーターが表情を変えます。
ステアリングホイルは、テストドライバーが握りやすい形状を何度も検討してくれました。縦長の断面でやや太くなっています。普通に握れば脇が締まり正しい運転姿勢になります。
最もこだわったのが、表皮一体発泡工法で実現したシートです。今までのスポーツカーのシートはどちらかと言えば、側面の張り出しを使って、そこに身体を当てて止めるタイプでした。今回開発したシートは、アスリートが着るボディスーツのように身体全体を面で支えるタイプです。手足で身体を支えるという余分な動作が不要なので、ドライバーはアクセル操作やハンドル操作に集中できるようになります。開発チームはとても苦労しましたが、最高のシートができたと自負しています。
――RC Fをこれから市場に提供していくわけですが、特にオーナーとして想定しているイメージやターゲットはありますか。
まったくありません。ぜひ多くの方々に乗っていただき、レクサスというクルマを体感してもらいたいです。
――本誌の主な読者は40歳前後の男性です。クルマの購買力はあるものの、クルマに対するこだわりが薄れてきている世代でもあります。最後にメッセージをいただけますか。
ぜひ「かっこいいオヤジ」になってほしいです。クルマ離れの最大の原因はオヤジがかっこよくないからだと思っています。ぜひRCやRC Fに乗っていただき、自分の子どもたちに、クルマに乗るのはかっこいいぜ、運転しているオヤジはかっこいいぜというのを示してもらいたいです。多少運転に自信がなくてもクルマの性能がカバーしますので(笑)。
――いろいろな人たちに乗ってもらい、クルマの楽しさや価値を再発見してもらえるといいですね。ありがとうございました。
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