「競合エアラインに後れを取るな」 ANAが2年前に新設した組織の狙い:ビジネス変革を推進(1/3 ページ)
外資航空会社を筆頭にダイナミックなビジネス改革が行われているエアライン業界。そうした競合に後れを取るわけにはいかないとANAも組織変革に乗り出している。
日本の“トリトンブルー”が世界中を力強く羽ばたいている。
2014年3月に羽田空港の国際線発着枠を新たに11枠獲得したこともあり、国際線を中心に事業規模を拡大させている、航空会社大手の全日本空輸(ANA)。10月30日に発表した2015年3月期 第2四半期決算によると、グループ全体の売上高は前年同期比で9.1%増の8548億円、経常利益は同78.2%増となる357億円に上った。
実はこのANA、競争力を高めるために、近年は社内向けに対してユニークな施策を矢継ぎ早に打ち出すことで、日々の仕事の活性化に取り組んでいるのだ。
その一例が「6000人の客室乗務員にiPadを配布」したこと。エアライン業界で先駆けて2012年4月に始めたこの取り組みは大きな注目を集めた。話題性にとどまらず、iPad導入によるコスト削減効果はトータルで年間約2億円に上るなど、経営上のメリットも強くアピールした。
このプロジェクトの黒子役となったのが、2年ほど前に新設された「業務プロセス改革室」だ。ANAのビジネスの根幹を支えるITを主管する部署として、業務システム全体を統括するとともに、部門横断的に「顧客視点での新サービスの企画」「グループ全体の業務プロセス改革」を推進する役割を担う。
この業務プロセス改革室の前身に当たるのは「IT推進室」で、情報システムの老朽化更新やインフラ整備・保守運用、各ビジネス部門からのIT開発要望に対する個別対応などを担当していた。一般の企業で言うところのIT部門である。なぜ名称変更とともに役割が大きく様変わりしたのか。
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