社長から“ダメ出し”100回以上! 別格「日本冠茶」完成までチョー大変:仕事をしたら“緑茶”が売れた(4/6 ページ)
キリンビバレッジの飲料「別格」シリーズが売れている。価格は200円(税別)もするので、ネット上では「高い」といった声が多い。これまでの常識では考えられない商品はどのようにしてつくられたのか。別格「日本冠茶」を開発した担当者に話を聞いた。
「ここまでしかできません」と言えない
土肥: 「これはいける!」と思った瞬間はあるのですか?
工藤: 先ほども申し上げたとおり、社長からは100回以上の“ダメ出し”。めげそうになりながらも、ある茶葉に火を入れたモノと、火を入れていないモノを混ぜてみたんですよ。そうすると「とろみ」と「うまみ」をバランスよく感じることができ、さらに独特の香りが漂ってきました。
そして、それを社長に試飲してもらったところ「もう少し、香りを強めてくれ。あとは、お前たちに任せる」と言ってくれました。そのとき、「ゴールは近いなあ」と感じましたね。
土肥: キリンビバレッジが販売している他の緑茶商品に比べて、「日本冠茶」は茶葉の量が約2.5倍だそうですね。お話を聞いている限り、抽出にも時間がかかっているようなのですが。
工藤: 他の緑茶商品に比べて、2倍ほどかかっています。
土肥: 質の高い茶葉をたくさん使って、さらに製造にも時間がかかっている。価格が高くなるのは、仕方がないのかも。
冒頭に「これまでの発想を変えることができませんでした」的な発言をされていますが、商品開発するにあたって「この予算内でやってくれ」と言われたほうがやりやすいのではないでしょうか。というのも、以前テレビ番組の制作に携わっている人がこのように言っていました。「番組予算を削られて文句を言っている人がいますが、逆に『予算はいくら使ってもいいよ』と言われたほうがつらいんじゃないの。だって、言い訳ができなくなりますからね。周囲からは面白い番組をつくって当たり前と思われちゃうし」と。
工藤: その通りだと思います。これまでは「140円以内で」という壁があったので、「ここまでしかできません」というセリフが簡単に使えていました。でも「採算度外視でつくってくれ」と言われると、「ここまでしかできません」というセリフが言えなくなったんですよ。そうなると、とにかくおいしいモノをつくるしかないんですよね。
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