2年半の摩天楼生活で、イチローがヤンキースの面々に見せた“流儀”:赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)
ヤンキースのイチローが、来季から新天地でプレーすることになりそうだ。現場で一緒に戦ってきた他の選手たちは、彼についてどのような印象を持っているのだろうか。チームメートに取材したところ、意外な言葉が……。
臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
日本の誇る天才バットマンが約2年半の摩天楼生活に別れを告げる。ニューヨーク・ヤンキースからFA(フリーエージェント)となったイチロー外野手が来季から新天地でプレーすることになりそうだ。
今季は外野手の控えとなる4番手で開幕を迎えながら、主力たちの相次ぐ故障もあって143試合に出場し打率2割8分4厘、1本塁打、22打点、15盗塁の数字をマーク。振り返ってみればレギュラー外野手として恥じないぐらいの十分な成績を残したものの、ブライアン・キャッシュマンGMらヤ軍幹部からは早々と“構想外”を示唆された。
しかし、アリゾナ・ダイヤモンドバックスやサンディエゴ・パドレスなど複数球団がイチロー獲得に強い興味を示していることから、別のチームのユニホームを着てメジャー14年目の来季を戦うことが確実となっている。
それにしても、なぜヤンキースはイチローを手放そうとしているのか。球団側は今季終盤に「外野の控え選手」としてメッツから獲得したクリス・ヤングとの契約延長を完了させた。ヤングは今季23試合出場の短期間ながらも71打数20安打(打率2割8分1厘)、3本塁打、10打点の好成績を残しており、しかもまだ31歳。天秤(てんびん)にかけられたイチローは来年で42歳を迎える年齢面がどうしてもネックになってしまったようだ。
だが退団確実となったとはいえ、ニューヨークでイチローの来季残留を求める声はいまだに絶えることがない。特に現場で一緒に戦っていた他の主力選手たちは、この2年半でイチローがチームにもたらした貢献ぶりを賞賛するとともに、実はかけがえのない存在であることも口々に訴えている。同じピンストライプのユニホームを身にまとっていたチームメートたちの様子を取材してみると、実はヤンキースにおける“イチローの軌跡”が日本でほとんど報じられていないことに驚く。
関連記事
- 松坂大輔がどんなに落ちぶれても「メジャー」にこだわる3つの理由
2013年8月、メジャーリーガー・松坂大輔のニュースが久しぶりに話題となった。自ら3Aを退団し、登板機会を求めてニューヨーク・メッツへと移籍したのだ。 - 市民球団「広島東洋カープ」、徹底した黒字追求型経営の姿勢とその裏側
今年は23年ぶりのリーグ制覇か! 「広島東洋カープ」ファンの“赤ヘル旋風”が巻き起こっている。市民球団のイメージが強い同球団だが、実は「39年連続で黒字」を達成している、徹底して黒字を追求する経営方針の企業である。だが、その裏に「知られざるカープ」の一面もある。 - イチロー引退までのカウントダウン
米国のメジャーリーグ関係者の間で物議を醸している話がある。ヤンキースのイチロー外野手が「2シーズン以内に引退を表明するのではないか」という怪情報だ。 - 年俸6億5000万円は、本当に「高い」のか? ベテラン「イチロー」の価値
天才バッターが岐路に立たされている。新戦力下のヤンキースでは「開幕スタメン落ち」で「外野手の5番手」という扱い。ただ、一方では「他のどんな選手にも勝る」と高い評価を受けている。この“ベテランの価値”をビジネスの現場になぞらえながら再認識しよう。 - なぜメジャーリーガーは「クスリ」がやめられないのか?
メジャーリーグに再びドーピング疑惑が起きている。Aロッドら主力級の選手が禁止薬物の提供を受けていたというのだ。彼らはなぜ「クスリ」に手を出してしまうのか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.