全世界75%のタミフルを消費する日本人、インフルエンザになる前に知っておくべき薬の話:効果と副作用(1/2 ページ)
インフルエンザにかかったら必ず薬を服用すると思っている人は少なくありませんが、世界的に見るとこのような認識があるのは日本ぐらいです。今回は、抗インフルエンザ薬における日本と世界のズレについて紹介します。
インフルエンザにかかったら、必ず薬(抗インフルエンザ薬)を服用する――そう思っている人は多いのではないでしょうか。
実は、このような認識があるのは日本ぐらいです。本記事では、この抗インフルエンザ薬(※)における日本と世界のズレについて紹介します。
圧倒的にタミフルを消費している国、日本
日本は、抗インフルエンザ薬の代表である「タミフル」の世界消費量の約75%を占めており、2位の米国の約20%を大きく離してダントツの1位。日本では、他の国に比べて圧倒的に多くの抗インフルエンザ薬が処方されているという事実があります。
日本で行われていることは、世界から見たら一般的ではありません。以下は、1999年から2007年までの各シーズンごとの世界のタミフル処方量のグラフです。日本がいかにタミフルをたくさん使用しているかが分かりますよね。
インフルエンザ治療が必要な人
なぜ、このように日本では抗インフルエンザ薬が多く使用されているのでしょうか。それは、本来投与しなくても元気になる可能性が高い人たちに対しても薬が処方されているからです。
他の国は、タミフルを多く使用することでインフルエンザが耐性を獲得し、タミフルが効かなくなってしまうことを懸念して、必要最低限の使用にとどめているのです。基本的に、健康な人であればインフルエンザは自力で治すことができます。治療対象となるのは気管支喘息、糖尿病、慢性の心臓病など、持病がある人やリスクの高い年齢の人です。
米国CDC(Centers for Disease Control and Prevention, アメリカ疾病管理予防センター)が提唱する抗インフルエンザ薬を使用すべき対象は、
- 入院を必要とするような重症な人
- 65歳以上の人、5歳未満、特に2歳未満の小児
- 妊婦
- 気管支喘息、糖尿病、慢性の心臓病など持病がある人
- HIVなどによって免疫力が落ちている人
です。
この項目のいずれにも当てはまらない場合、抗インフルエンザ薬の投与は必須ではありません。ただし、必要に応じた解熱薬の使用や安静、水分補給など、一般的な対処は必要です。
抗インフルエンザ薬を投与すると、症状がある期間を短くします。この効果を考慮して、日本では本来投与が必須ではない人にも処方されているケースが多いと考えられます。では、その効果とは一体どれほどのものでしょうか?
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関連リンク
- Tashiro, Masato, et al. 2009, “Surveillance for neuraminidase-inhibitor-resistant influenza viruses in Japan, 1996-2007,” Antivir Ther 14: 751-61.
- Centers for Disease Control and Prevention, 2014,“Treating Influenza(Flu),” Atlanta: Centers for Disease Control and Prevention, (Retrieved December 4, 2014)
- Tom Jefferson, et al. 2014, “Neuraminidase inhibitors for preventing and treating influenza in healthy adults and children,” The Cochrane Library.
- 厚生労働省ホームページ「インフルエンザQ&A」(2014年12月4日取得)
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