全世界75%のタミフルを消費する日本人、インフルエンザになる前に知っておくべき薬の話:効果と副作用(2/2 ページ)
インフルエンザにかかったら必ず薬を服用すると思っている人は少なくありませんが、世界的に見るとこのような認識があるのは日本ぐらいです。今回は、抗インフルエンザ薬における日本と世界のズレについて紹介します。
抗インフルエンザ薬の効果と副作用
どのような薬にも、効果と副作用が起こりえます。
まず効果から紹介します。いろいろな研究結果をまとめた報告では、「健康な成人に投与した場合、タミフルは症状がある期間を7日から6.3日に短縮する」という結果がでました(もちろん、個人差があります)。
一方で、タミフルを投与しても入院率や肺炎、気管支炎、中耳炎の発症率は減らないということも示唆されました。この7日→6.3日の変化を大きいと捉えますか? それとも小さいと捉えますか?
副作用の代表的なものは、吐き気です。タミフルを内服した場合、3.6%程度出現率が上がるという報告があります。また、「飛び降り」などの異常行動もメディアに取り上げられました。これについては因果関係は不明としながらも、原則的に10歳以上の未成年に対してはタミフルを使用しないようにと厚生労働省も警告しています。
抗インフルエンザ薬を使うか使わないか、どちらが絶対に正しいということはありません。「治療効果」対「副作用の可能性、ウイルスの耐性化の可能性」のてんびんの問題です。もちろん、新型インフルエンザの出現や病原性の高いインフルエンザウイルスが大流行するなど、特別な状況があればこのてんびんはいくらでも揺らぎます。
米国では、インフルエンザ対策として予防接種が最も有効だとして推奨しています。これは個人の感染を防ぐだけではなく、先に挙げたようなインフルエンザが重症化してしまう可能性のある人たちへのウイルスの広がりを抑えるという意義も持ちます。個人と社会のてんびんをイメージしつつ、医療と関わっていくことが重要です。(橋本直也)
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関連リンク
- Tashiro, Masato, et al. 2009, “Surveillance for neuraminidase-inhibitor-resistant influenza viruses in Japan, 1996-2007,” Antivir Ther 14: 751-61.
- Centers for Disease Control and Prevention, 2014,“Treating Influenza(Flu),” Atlanta: Centers for Disease Control and Prevention, (Retrieved December 4, 2014)
- Tom Jefferson, et al. 2014, “Neuraminidase inhibitors for preventing and treating influenza in healthy adults and children,” The Cochrane Library.
- 厚生労働省ホームページ「インフルエンザQ&A」(2014年12月4日取得)
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