「タダ(無料)」とうまく付き合うには、どうすればいいのか:お金もセンス(3/4 ページ)
「年会費無料」「相談は無料」「手数料無料」――。お金がかからない……つまり「タダ(無料)」という言葉は魅力的だが、気をつけなければいけないことがある。それは……。
タダは心理的な「貸し・借りマインド」を生みだす
以前、ある介護施設の女性経営者から興味深い話を聞いた。彼女は本業以外で地元地域の世話役をしており、毎週、60歳以上の高齢者ボランティアに近隣の清掃活動を(当然)タダで行ってもらっていたが、最近、参加してくれた高齢者の方々に、きちんとバイト代としてお金を支払うようにしたという。
「無料参加だと、みんながまとまらず、むしろ派閥ができたりしてチームワークがうまくいかないから」だそうだ。これはどういうことだろう!? ボランティアで参加してくれた高齢者の多くは、働いていた時のように社会との関わりを持ちたいという思いで来られる方も多い。特に元役員や管理職経験者に多いらしいが、チームの中で何人か必ずリーダー的なふるまいで身勝手な行動をとる人が出てくるそうだ。
彼女が言うには、「タダでやってやってんだから」という気持ちが根底にあるという。そこで、少額だが、きちんとお金を払い、全員が一律、バイトとして雇われている立場に替えたら、そういったトラブルはほとんどなくなったという。
「タダ」ではなく、「有料」のほうがうまくいったという珍しい事例だが、実はここに、人間のもう1つの心理を垣間見ることができる。
それは、 タダは「心理的な『貸し・借りマインド』を生みだす」ということである。先ほどの事例にあった「タダでやってあげたのだから」、あるいは「タダにしてもらったんだから」という気持ち、そのものが「貸し・借りマインド」である。つまり、無料サービスの受け手側は、「借り(カリ)をつくった」という気持ちも無意識にもらってしまう。
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