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“逆オイルショック“で喜ぶ人、青ざめる人:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
原油価格が暴落し、“逆オイルショック”ともいえる状況になっている。安倍首相にとっては、円安も相まって原油価格の値下がりは追い風だが、大変なことになっているのがロシアだ。原油価格に連動して、通貨のルーブル安が止まらない。
ロシアで金融危機が始まったら、どうなる?
ロシアから金融危機が始まると、まず第一に飛び火するのはロシアに対して融資をしている欧州の金融機関だろう。それでなくても、欧州の銀行は、2008年のリーマンショックからまだ立ち直っておらず、ECB(欧州中欧銀行)のストレステストが続いている(参考記事)。資本増強が必要になるだろうが、ルーブル危機が起これば、資本必要額はさらに膨らむ。
そうなったら外貨、とりわけドルが必要だ。そのときにアメリカはあまり熱心には協力しない。もちろんプーチン大統領が「全面降伏」すれば別だが、その可能性はまずない。
安倍首相にとって「盟友」のプーチン大統領が万が一にでも失脚すれば、北方4島の問題も平和条約も、そしてガス輸入の話もすべてが止まってしまう。それに何と言ってもプーチンの失脚はロシアの混乱を意味する。それは経済が回復に向かうかどうかの瀬戸際にいる日本にとって、最も望ましくないシナリオのはずだ。
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