世の中の仕事の9割はつまらない?――中2の娘と4時間半激論してみた:父と娘のマジトーク・クリスマス特別企画(3/8 ページ)
女子中学生と父親がテーマに沿って深く話し合う「父と娘のマジトーク」。連載が終わって約1年、中学2年生になった娘が「働くこと」について話したいと言ってきたため、連載の番外編をお送りします。何のために働くのか? 父の仕事を子どもはどれくらい知っている? 現代っ子が仕事について、どんな期待と不安を抱いているのか、徹底的に話し合いました。
世の中の仕事の9割がつまらない?
父: サオリが日常接点がある大人は、辛そうに働いているように見えるけど、世間に目を広げると楽しめている大人はいるってこと?
娘: きっと、そうじゃないかな。
父: 周囲の大人の印象に引っ張られて、マイナスイメージは持たないでほしいぞ。
娘: でもさぁ、やりたいことを仕事にできる人はほんの一部でしょ?
父: やりたい仕事をしている人と、イヤイヤ働かされている人、割合はどれくらいだと思う?
娘: うーん、少なくとも半分以上は……いや、もしかして9割くらいの人は、やりたい仕事ができていないんじゃないかな。
父: それって、世の中の仕事の9割がつまらないって意味? 楽しい1割の仕事をみんなで奪い合っているってこと?
娘: そうは思いたくない。だとしたら、悲しい。
父: たとえば、お前の周囲の先生はたまたま楽しくなさそうでも、情熱にあふれた先生だってどこかにいるだろう?
娘: (ちょっと考えて)確かにそうだね。塾の先生はすごく熱心だし、明るいし、やる気を感じるもん。
父: 学校も塾も、教える仕事ということでは似ているけど、楽しめる人とそうでない人がいるってことだな?
娘: うん。
父: じゃあ何の仕事か、仕事の名称だけで、面白い、面白くないと決めつめるのは……。
娘: 間違っているのか……。決めるのは、人の心次第だね。
父: 仕事の9割がつまらなくて、1割だけ面白いって考えはおかしいってことがハッキリしたな。
メロンパンの皮だけを商品にする仕事は面白そうか?
父: サオリの周囲の大人はほぼ学校関係者に限られてしまうと思うけど、世間には、いったいいくつくらいの職業があると思う?
娘: 百! いや、千くらいあるのかな?
父: とんでもない。万単位であるぞ。
娘: ま、万!? うそだぁ〜!
父: 我々が知らないだけ。聞いたこともない世界で、想像を絶する仕事をしている人が大勢いるんだよ。
娘: 想像もつかないよ、たとえばどんな?
父: そんなこともあろうと、新聞(日経MJ)を持ってきたよ。ちょっとめくるだけでも色々な職業が見えてくる。なになに……居酒屋が新業態店舗を始めた、エキナカに新しいコンセプトのモールが誕生した、最近売れているCDと映画のランキング、吉野家の牛丼が近々値上げになる、メロンパンの皮だけを商品化した……。
娘: どれどれ……? メロンパンの皮だけを商品にしちゃったなんて、こんなふざけたことを考えちゃう大人がいるんだ。こんなの、売れるのかな?
父: 売れないと思う?
娘: ……ちょっと食べてみたいかも(笑)。
父: お前がそう思わせられたってことは、これを考えついた人の勝ちだな。サオリの知らない世界では、こんなことが日夜繰り返されているんだ。
娘: うーむ、あたしが知らないだけなのか。
父: 牛丼がほんの数十円高くなることは消費者である我々からしたら、「それがどうした」っていうくらい些細(ささい)なことだ。でもその世界で生きる大人にとっては、生きるか死ぬかの切実な問題なんだよ。
娘: 世の中って、めちゃくちゃいっぱいいろんな出来事が起きてるんだね。
父: 新聞を見ただけでも知らない世界が垣間見える。仕事が面倒で辛いものだと、簡単に決めつけたりはしないでほしいな。あと、世の中のことに関心を持ってね。
娘: うん、分かったよ。
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