なぜセブン-イレブンは“王者”であり続けるのか:仕事をしたら“2015年”が始まった(前編)(3/6 ページ)
セブン-イレブンの快進撃が止まらない。2014年4月に消費税が増税され、他のコンビニが苦戦する中、セブンは売り上げを伸ばした。セブンカフェやセブンプレミアムなど、なぜヒット商品を生み出すことができるのか。現役コンビニオーナーの川乃もりやさんに話を聞いた。
「コンビニコーヒー=セブン」という公式
川乃: 多くの人がそう思われるでしょう。しかし、心のどこかで「コンビニコーヒー=セブン」という公式ができあがるんですよ。先ほども申し上げたとおり、セブンのコンビニコーヒーは価格でブレていませんが、ローソンとファミマはブレた。このことは大きいんですよ。
セブンはコンビニコーヒーが売れようが売れまいが、とにかく全店で導入すると決めました。一方のローソンとファミマは様子を見ながら販売して、「セブンのコンビニコーヒーがよく売れているようだな。じゃあ、ウチも取扱店をどんどん増やしていこう」となった。こんなことを言うと、両社は「セブンの販売状況なんて関係ありません。こちらは予定通りに進めているだけ」と反論されるでしょうが、お客さんには「セブンの後追いをしているな」という印象が残るんですよ。
個人的には、ローソンの今後の動きに注目しています。ライバル2社がセルフサービスなのに対して、ローソンは注文を受けてから店員が手渡すという「接客」をウリにしています。ライバルとは一線を画すサービスで競争に勝ち残ろう――という差別化戦略を貫いてきたのですが、ここにきて「あれ?」と思う動きがあるんですよ。聞いた話なのですが、一部の店舗で手渡しを止めて、セルフサービスを導入しようという動きがあるとか。もしそんなことをしたら……。
土肥: ブレ始めていますね。
川乃: はい。ローソンは「接客」を丁寧にすることで、スタッフの教育に力を入れてきました。「他のコンビニと違って、ローソンのスタッフは親切」と感じている人も多いのではないでしょうか。コンビニコーヒーを手渡すことで、そのように感じる人が多いはずなのに、他社のマネをしてセルフに変えたら今までの方針とブレることになります。社内からもこんな声が出る可能性があります。「コンビニコーヒーの売り上げが伸び悩んでいるな。やっぱり、セブンやファミマのようにセルフサービスでいこうよ」と。
もしセルフサービスを導入すると、成功する店舗も出てくるでしょう。例えば、オフィス街の近くにある店舗で昼の忙しい時間帯に手渡しをしていては、お客さんに迷惑をかけてしまうかもしれません。丁寧さよりも「スピード」が大切なこともあるので。
土肥: そうした声が強くなれば、セルフサービスを導入する店舗が増えるかもしれない?
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