石破大臣も興奮! ウワサの583系「鉄コン列車」に潜入してきた:杉山淳一の時事日想(6/6 ページ)
2014年12月23日、鉄道ファンに人気の電車「583系」による「鉄道コン」イベント列車が走った。主催団体会長の衆議院議員小池百合子氏、地方創生担当大臣の石破茂氏も乗車。出会いを求める男女、鉄道ファンなど、さまざまな人たちの思いが詰まったイベントだった。
鉄道ファンにも喜んでもらいたい
日本旅行と言えば、鉄道ファン向けに数々のツアーを企画し成功させてきた。「鉄道コン」ツアーは同社の鉄道プロジェクトではなかったけれど、スタッフは矢嶋氏を含めて鉄道好き。今回は鉄道プロジェクトの瀬端浩之氏も社内記録写真係として同行していた。
石破氏、小池氏、石崎氏は帰路のみ乗車。短い間だが参加者全員と交流。小池百合子議員からは本物の「婚姻届」が全員にプレゼントされた。証人欄に小池議員の直筆サイン入り。「参加者同士が結婚することになったら議員会館で捺印します」だって!
矢嶋氏に話を伺う。
「JR東日本さんが583系を出してくれると聞いて、成功を確信しました。鉄道ファンの男性は必ず来てくれると」
最近は女性の鉄道ファンも増えている。583系と聞いてピンとくる女子もいそうだ。今回のツアーは3週間の集客期間で、男性はキャンセル待ちだったという。
「日本旅行がやるからには鉄道ファンにも満足してもらいたい」
日本旅行としては、583系の旅をアピールしたかったようだ。LOVEをテーマとしたヘッドマークも制作した。取り付けのために、わざわざ秋田の車両基地まで行ったそうだ。
「現地の業者さんにお願いしようと思ったら、車両基地の構内作業許可を持っている人がいなくて、こちらから連れていきました。ヘッドマークは時間もお金もかかっているんです」
車両基地内で作業をするためには、鉄道会社の講習を受けて許可証をもらう必要があるそうだ。沿線ではきっと鉄道ファンが撮影するだろうから、この日だけの特別なヘッドマークを付けてあげたかったという。
「でも、Twitterではダサいって言われちゃった」とガッカリしていた。
現在、JR東日本の583系電車は1編成しか残っていない。主に団体列車や臨時列車に使われているけれど、製造から40年以上が過ぎて、引退を心配するファンも多い。その583系を活躍させる場を少しでも増やしたい、という思いが日本旅行のスタッフにはある。鉄道プロジェクトの瀬端氏も、鉄道コンにヒントを得たようだ。
「3月のダイヤ改正で、上野と札幌を結ぶ寝台特急北斗星が臨時列車になります。残念ですが、私たちにとっては、運行しない時期のツアーで北斗星の24系寝台車が使えると期待しています。次の鉄道コンがあるなら、こんどは24系で何か企画したいです」
寝台客車の座席利用だと、もっと広くゆったりしている。隣の区画とは壁があるから、グループの語り合いにも都合が良さそうだ。
沿線では往路、復路とも大勢の鉄道ファンがカメラを構えていた。北鎌倉駅から鎌倉駅までの各踏切に警備員やJR東日本職員が立っていた。その雰囲気を察したか、横須賀線沿線に住む人々も沿線に立ち、列車に手を振ってくれる。
終着駅の品川駅でも鉄道ファンがカメラを構えていた。女性の職員がロープを持ってホームのカメラマン整理にあたる。しかしロープは使わず「黄色い線から出ないでください」のかけ声のみ。
「皆さん、礼儀正しい人ばかりで助かります」と笑顔だった。
臨時列車ひとつでJR東日本の手間もかなりのものだ。しかし、鉄道や列車が人々に愛されていると実感できる場面でもある。
参加者全員が降りて、583系が回送列車となってホームを離れるとき、“撮り鉄”の皆さんから「どうもありがとう」「お疲れさま」の声が掛かった。もう、今日限りで会えないかもしれない583系への感謝の言葉だ。
「オレたちにも言ってくれないかな……」と矢嶋氏が苦笑いしていた。
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