2015年の鉄道業界はどうなる? 楽しい一年になりそうだ(前編):杉山淳一の時事日想(特別編)(1/4 ページ)
2015年の鉄道業界は、北陸新幹線開業、上野東京ライン開業、大井川鐵道のきかんしゃトーマスなど、ビジネスや観光の両面で話題が多い。そこで、前編、後編の2回に分けて、2015年の鉄道業界の動きを追ってみよう。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP。
2015年の最大のトピックは北陸新幹線金沢開業だ。ビジネス、観光など広範囲に影響する。ビジネス面では「上野東京ラインの開業」「東海道新幹線のスピードアップ」が大きな変革。観光面では2014年に大きな話題となった。震災した路線の復興も進ちょくし、仙台では地下鉄の新路線が開業して盛り上がりそうだ。
北陸新幹線開業で金沢・富山が関東経済圏に
鉄道業界にとって新年は毎年3月。JRグループのダイヤ改正で大きく変わる。2015年は3月14日に全国ダイヤ改正が行われる。大きなトピックは「北陸新幹線開業関連」だ。長野―金沢間の新幹線開通により、東京と富山は最短で2時間8分、東京と金沢は最短で2時間28分となる。
これまでは航空機が短時間で首都圏と北陸を結んでいたが、定時性に優れ、乗客数の多い新幹線列車の効果は大きい。新幹線開業をにらんだ企業の移転が始まっており、北陸のビジネスが活性化されている。北陸の人々にとっても、関東方面のビジネスの機会が増える。また、高校生は進学先として関東の大学や専門学校を志向する人も多いだろう。北陸地方はどちらかといえば関西の経済圏との結びつきが強かった。2015年以降は関東との結びつきも強くなる。
首都圏からの観光客受け入れ準備も着々と進んでいる。のと鉄道では春の大型連休から観光列車「のと里山里海号」の運行が始まる。運行区間は和倉温泉駅―穴水駅。半年遅れてJR西日本も観光列車「花嫁のれん」の運行を開始する。運行区間は金沢駅―和倉温泉駅。2つの列車がそろった2015年秋以降の列車旅が楽しそうだ。
関連記事
- 鉄道ファンは悩ましい存在……鉄道会社がそう感じるワケ
SL、ブルートレイン、鉄道オタク現象など、いくつかの成長期を経て鉄道趣味は安定期に入った。しかしコミックやアニメと違い、鉄道ファンは鉄道会社にとって悩ましい存在だ。その理由は……。 - 「青春18きっぷ」が存続している理由
鉄道ファンでなくても「青春18きっぷ」を利用したことがある人は多いはず。今年で30周年を迎えるこのきっぷ、なぜここまで存続したのだろうか。その理由に迫った。 - なぜ新幹線は飛行機に“勝てた”のか
鉄道の未来は厳しい。人口減で需要が減少するなか、格安航空会社が台頭してきた。かつて経験したことがない競争に対し、鉄道会社はどのような手を打つべきなのか。鉄道事情に詳しい、共同通信の大塚記者と時事日想で連載をしている杉山氏が語り合った。 - なぜ駅にホームドアの設置が進まないのか
駅ホームからの転落事故が後を絶たない。自殺や携帯端末の注視など理由は多岐にわたり、対策はホームドアや点字ブロックの改良が主だという。しかし、私たちは最も効果的な解決策を持っている。心だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.