2015年の鉄道業界はどうなる? 楽しい一年になりそうだ(前編):杉山淳一の時事日想(特別編)(2/4 ページ)
2015年の鉄道業界は、北陸新幹線開業、上野東京ライン開業、大井川鐵道のきかんしゃトーマスなど、ビジネスや観光の両面で話題が多い。そこで、前編、後編の2回に分けて、2015年の鉄道業界の動きを追ってみよう。
北陸方面の在来線も変わる
なお、北陸新幹線の開業に伴って、並行在来線区間の金沢駅―倶利伽羅駅間は「IRいしかわ鉄道」に、倶利伽羅駅―市振駅間は「あいの風とやま鉄道」に、市振駅―妙高高原駅間は「えちごトキめき鉄道」に、妙高高原駅―長野駅間は「しなの鉄道」の北しなの線として移管される。長距離旅客輸送の役割がなくなり、地域に密着したダイヤが設定される予定だ。
「えちごトキめき鉄道」では貸し切りイベントに使用できる車両の導入が発表されている。「しなの鉄道」は2014年夏から観光列車「ろくもん」を運行しており、新たに組み込まれる「北しなの線」への導入も期待したい。JR東日本は飯山線で新コンセプト列車「おいこっと」を2015年春にデビューさせる。飯山線の定期列車として運行するほか、長野駅―豊野駅は北しなの線に乗り入れて、北陸新幹線長野駅に接続する観光列車となる。
北陸ではJR西日本、JR東日本とも、新幹線開業によって在来線特急の再編を実施する。関西から金沢方面は従来通り「サンダーバード」を継続しつつ、新幹線や能登方面の接続が図られるだろう。一方、関東から北陸新幹線で金沢に到達した旅行者のために、福井方面へ特急「ダイナスター」、能登方面へ特急「能登かがり火」が登場する。北陸地域の鉄道網が変わる。経済も変わる。2015年でもっとも注目する地域は北陸だ。
鉄道ファンの視点では、在来線特急「はくたか」の運行が終わる「北越急行ほくほく線」の動向も気になるところ。同社は「はくたか」に代わる超快速列車「スノーラビット」を運行する計画だ。運行区間は越後湯沢駅―直江津間。直江津周辺は新潟県内で第3位の人口を擁(よう)する上越市。上越市の新幹線停車駅は上越妙高駅だが、市の中心部へ向かうなら越後湯沢駅乗り換え超快速列車の選択肢もアリだろう。なお、北越急行ほくほく線では全駅の駅名看板が片岡鶴太郎氏による書画となった。駅めぐりも楽しそうだ。
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