マクドナルドが異常に叩かれている、もうひとつの理由:窪田順生の時事日想(2/4 ページ)
マクドナルドがマスコミからボコボコに叩かれている。「SNSの普及によって、異物混入で泣き寝入りしていた消費者の声がマスコミに届くようになったからだ」という声もあるが、筆者の窪田氏は「異物混入のせいだけではない」と見ている。
マックが弱っている
ショウジョウバエが入ったジュースを飲んだ子どもが病院へ運び込まれた時も、2011年にマフィンのなかにナットが混入していて、それを食べた男性の前歯が欠けた時も、マスコミはいたって冷静であり、「他にもこんなに異物混入がありました」なんてパネルをつくって大騒ぎをしない。
つまり、今回のマクドナルドバッシングは「異物混入」に端を発しているように見えるが、実はそうではなく、もっと別のきっかけがあると考えるべきなのだ。
そこで、ひとつの可能性として浮かびあがる理由が、「マクドナルドの弱体化」である。
マスコミというのはよく「水に落ちた犬を打つ」なんて揶揄(やゆ)されるように、これまで他を寄せつけなかった強い者がガクッと膝をつくとか、大企業がグラっと傾くと急に攻撃を始めることがある。そう考えて最近のマクドナルドを見るとどうなるか。
原田泳幸CEO時代に急速に進めたフランチャイズ化の反動で店舗売却益ものっからず業績悪化。現場で働くアルバイトの士気は落ちて、FCオーナーからブーブー文句も出てきている。そんななかで中国産鶏肉事件による、いわゆる「ナゲット・ショック」が起きて大打撃、上場以来初めての経常赤字へ――。
誰が見たって弱り目に祟(たた)り目という状況である。これに加えて、サラ・カサノバCEOのキャラクターもマスコミの攻撃を誘発している。謝罪会見にはなかなか出てこない、出たら出たで自分たちの正当性を訴え強気な態度を貫く「外国人社長」というのはマスコミにとって格好の餌食だからだ。
そんなマックの弱体化は、本国の米国でも変わらない。ファストフード全体の消費量は増えているにもかかわらず、同社の売り上げは激減しているのだ。この背景には、2年前に失敗した情報公開キャンペーンがある。
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