日本郵便と中国最大の旅行サービスが提携、訪日客のホテルに商品配達:初年度30億円を目指す
2014年に過去最高を記録した訪日外国人数。とりわけ中国人の訪日観光客が急増している。彼らに対して物販サービスを展開すべく、日本郵便と中国の旅行大手であるCtripが手を組んだ。
日本郵政グループの日本郵便と、中国最大のオンライン旅行サービスを運営する上海携程国際旅行社(Ctrip)はこのほど業務提携し、Ctripの旅行者向けショッピングサイト「全球購」で日本郵便の商品を提供するサービスを1月15日から開始する。急増する中国人訪日観光客に対して物販を拡大するのが狙いだ。
Ctripは1億5000万人の会員を抱え、主に中国人向けの旅行予約サービスなどを提供する。2014年に日本支社を設立したばかり。
新サービスは、訪日予定あるいは訪日中の中国人Ctrip会員がサイト上で商品を注文し、それを指定の宿泊先にゆうパックで届けるというもの。現在、Ctripが契約する東京、大阪、沖縄、札幌の約600の宿泊施設で受け取りが可能である。ただし、商品配達はゆうパックの日時指定サービスを適用するため、注文から受け取りまで1週間程度の期間があると好ましいとしている。
取り扱う商品は、日本の特産品や逸品、あるいは訪日中国人に人気の高いブランド品、化粧品、日用雑貨などで、スタート時には約1000アイテムを用意する。商品の調達は日本郵便の子会社である郵便局物販サービス(TS)が行う。全球購のサイト運用やカスタマーサポートなどはECサービス企業のウィ・ジャパンが担当する。
初年度の売上目標は30億円で、2018年には300億円を目指す。取り扱う商品点数も、2015年内に2000アイテム、2018年には5000アイテムまで増やすとしている。
土産購入の手間が省ける!?
日本政府観光局(JNTO)の調査によると、2014年1月〜11月の訪日中国人数は221万9300人で、前年同期比の82.2%増となった。また、観光庁の統計データでは、2014年7月〜9月期の訪日中国人の旅行消費額は1847億円で、前年比で102.3%増となっている。
今後もこの数字は伸びていくとみられており、彼らの需要の取り込みが小売業などにとっては大きなビジネスチャンスである(関連記事)。
日本郵便の中島直樹常務執行役員は「約30年前に『ふるさと小包』をスタートし、長年にわたって各地の名産品を通販もしくは郵便局窓口で販売してきた。そのノウハウを基に訪日中国人観光客に対する新たな販売チャネルを作っていくのが目的だ」と、今回の提携の理由を説明する。
一方で、訪日中国人にとってもこのサービスのメリットは大きいという。Ctrip Japanの梁頴希社長によると、中国人観光客は日本で物品を大量購入するものの、ほとんどは家族や友人への土産であり、実はそのための時間を無駄に感じている人も多いそうだ。そこで、事前にオンラインで土産品を購入できれば、空き時間を自分自身のためのショッピングや、観光にあてることができるようになる。
商品の配送先について、今後は空港での受け渡しも可能にしていきたいとするが、税関や費用などの問題から、中国への郵送は予定していないとした。
また、商品が受け取れなかった場合の補てんなどに関しては、明快な回答が得られなかった。
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