ヨックモックの「シガール」が中東で大ヒット――その理由は?:日本発のヒット商品(2/2 ページ)
ヨックモックの「シガール」がUAEで売れている。2012年に1号店を出店して、現在は17店舗に拡大。現地の人たちは“大人買い”をしているそうだが、同社はどのような形で販売しているのだろうか。
シガールの誕生秘話
ヨックモックが海外進出したのは1986年。米国のデパート「ニーマン・マーカス」に出店したのが初めて。米国の熱烈なファンが「ヨックモックの商品を米国でも食べたい」というラブコールがあって、進出することになった。米国に熱烈なファンがいた理由を聞いたところ「実は……よく分かっていません。ただ、日本のビジネスパーソンが出張の際に、手土産にシガールを持っていったのかもしれません。また、米国のビジネスパーソンも帰国の際に購入されたのかもしれません。そうした手土産を食べた人たちの間で「おいしい」という感想が発信され、それが口コミとして広がって、百貨店から『ウチでも販売したい』と声がかかったのだと思います」(上山さん)
現在は米国、UAEのほかに、タイ、香港、マカオ、台湾で展開している。他の国からも引き合いがある人気者のシガールはどのようにして誕生したのか。同社の創業者・藤縄則一氏はチョコレート菓子を手掛けていたが、競合他社が大量生産、大量販売していく中で、苦戦を強いられていた。なんとかしなければいけないということで、欧州へ視察旅行に。パリの菓子店で現地の人たちが楽しそうに選んで、大事に持ち帰る光景を目にした。そのときの商品が、楕円形の形をしたクッキー「ラング・ド・シャ」だった。
藤縄氏は帰国して、早速ラング・ド・シャのようなモノを開発することに。ラング・ド・シャは卵白がたくさん入っているので食感が軽く、バターの風味が強いのが特徴。同じ楕円形で作ったものの、簡単には完成しなかった。何度も何度も試作品を作ったが、何度も何度も割れた。どうやったら強度があるモノをつくることができるのか。試行錯誤を重ねて、ある職人が「巻いてみてはどうだろうか?」と提案して、実際に巻いみたところ想像以上の強度となった。
巻くことによって独特の食感が生まれ、葉巻(シガー)のような形をしていることから「シガール」という商品名が誕生した。ちなみに、上山さんも研修のときに、手で巻いてみたことがあるそうだが「形がバラバラで、全くダメでした。現在は機械で作っていますが、当時はすべて手作業。昔の人はスゴいですね」と苦笑い。
欧州でヒントを得て、日本で生まれたシガール。米国、アジア、アラブの人たちに愛され、欧州に上陸する日も近いかもしれない。
編集部よりお知らせ:
「made in Japan」――。かつては“格下”の響きがあったが、今は違う。日本発のヒット商品が次々に生まれ、世界の仲間入りを果たした。国境を越えた商品は、どのように誕生し、なぜ浸透したのか。Business Media 誠ではその謎に迫っていくために特集「世界で売れてる、日本発のヒット商品」をスタートする。
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