そろそろJRグループは“コミケ臨時列車”を検討しよう:杉山淳一の時事日想(3/4 ページ)
日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット」は今年で40周年を迎えたという。2014年末の第87回(C87)は3日間の動員数が56万人に上った。会場アクセス手段の「りんかい線」と「ゆりかもめ」もフル稼働で対応した。JRもこの“需要”を真剣に考えたほうがいい。
宗教臨の仕組みを使おう
ニコニコ超会議は2日間で延べ約12万5000人の来場者がある。コミケは1日あたり約20万人の来場者がある。これは臨時列車の成立には申し分ない数字だと思う。なぜなら、JRグループは国鉄時代から、12万人規模のイベントで長距離臨時列車を走らせているからである。例として「宗教臨」を挙げる。宗教団体の式典のために、各地から運行される臨時列車のことだ。
天理教は、奈良県天理市に本拠地がある。最寄り駅はJR桜井線の天理駅。天理教は春と秋に大祭があり、全国から信者が集まる。近距離ではJR西日本も近鉄も臨時列車を運行するし、遠方からも臨時列車がやってくる。これは鉄道ファンの間では「天理臨」と呼ばれている。桜井駅には天理臨のための留置線が設けられている。普段の桜井線では見られない寝台車など旧国鉄型車両がやってくるから撮影の対象となっていて、動画サイトなどで紹介されている。天理教の祭典は約12万人の来場者があるそうだ。
岡山県の金光駅には「金光教」の臨時列車「金光臨」がやってくる。金光駅には団体専用ホームがある。宗教臨が成立する規模なら、コミケ臨だって可能性はある。需要はあるだろう。宗教臨はJRの企画ではなく、宗教団体の支部と旅行会社が企画してJRに運行を依頼する形となっている。こんなふうに旅行会社が取り組んでくれたらコミケ臨は実現しそうだ。ちなみに、ニコニコ超会議号は日本旅行が手掛けている。
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