そろそろJRグループは“コミケ臨時列車”を検討しよう:杉山淳一の時事日想(4/4 ページ)
日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット」は今年で40周年を迎えたという。2014年末の第87回(C87)は3日間の動員数が56万人に上った。会場アクセス手段の「りんかい線」と「ゆりかもめ」もフル稼働で対応した。JRもこの“需要”を真剣に考えたほうがいい。
臨時列車用の車両が足りなくなる?
2014年末のコミケはNHKも出展し、ドキュメンタリーも放送された。国民の文化として認められたと言っていい。ならば、輸送ビジネスを考える上でも検討の価値があると言えそうだ。
そして、コミケ臨に最適な車両は寝台車である。コミケ参加者はギリギリまで準備に追われ、夜行で移動し、開催日の朝に会場に着きたいだろう。寝台車で寝かせてあげたい。また、寝台車は一人あたりの利用空間が広いから、持ち込む売り物や購入した物など、荷物が多くても安心だ。
次回のコミケは今年8月開催とのことで、北斗星の定期運用が終わっている。北斗星やあけぼのの寝台車や、秋田に所属している寝台電車583系の出番だ。JR西日本のトワイライトエクスプレス用の寝台車も、臨時列車ならしばらく使えると思う。
ただし、問題は車両の老朽化である。上に挙げた車両たちは「今はまだ使える」という状態だけど、近い将来には廃車になる。そのときに臨時列車用の車両はどれだけあるか。いっそのこと、臨時列車用の簡易寝台車両を作ってはどうだろう。状態が良く、新幹線開業で余った在来線特急電車を改造する。今後も宗教臨は続くだろうし、コミケ臨という新需要もある。とってつけたようだけど、東京オリンピック輸送にも一役買いそうではないか。夜行列車があればホテル不足も解消できる。
JR西日本もJR東日本も2017年に向けて豪華クルーズトレインを構想しているけれど、もっと手軽に乗れる臨時列車用の寝台車があってもいい。
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