「入札」って何ですか?――入札情報サービスに聞きました:ゆるキャラ案件、オリンピック案件、マイナンバー案件……(4/4 ページ)
国や地方自治体がモノを買ったり事業を委託・発注したりするには「入札」というプロセスが不可欠。閉じられたイメージが強いが、実はどんな企業でも入札に参加できるという。入札情報速報サービス「NJSS」に、入札の基本について聞いた。
各ホームページから情報収集してデータ化
――『NJSSプレミアム』についても教えて下さい。入札情報サービスを、うるるという会社が手がけることになったきっかけは何でしょう?
渡邉: もともと当社はデータ入力やスキャニング代行サービスなどのBPOビジネスを展開していたのですが、そういった案件は入札も多く、当社自身も多数入札に参加していました。その中で当社の星(知也氏。代表取締役社長)が先行していた他社の有料入札情報サービスを試してみると、掲載情報に漏れが多いことに気づき、ビジネスチャンスではないかと目を付けました。当社では、9万人超の会員を持つ主婦向けのクラウドソーシングサービス「シュフティ」(参照リンク)を展開しており、登録した主婦を中心とした在宅ワーカーさんを活用して、情報収集とデータベース化、そして自社の入札経験から提供できるUXなど、他社にはない優位性を示せるのではないかという考えが背景にありました。そして、最終的に約130人の在宅ワーカーさんに情報を収集してもらい、それをデータベース化して提供するという「NJSS」を開始しました。
――しかし、公開情報とはいえ、入札開始の情報がどこに掲載されるのか、官庁・自治体のサイトによってまちまちですよね?
渡邉: はい。中小企業庁の指導があり、入札案件は必ずWebサイト上に情報が公開されているのですが、自治体や部署によって深い階層にPDFリンクが張られているだけということも珍しくないので、慣れないと見つけるのも難しいです。この点は私よりも、担当する在宅ワーカーさんの方がどこに載っているのか詳しいです。
――ということは、全国の入札案件を各官公庁や団体のWebサイト上で確認して入力しているのですね。
渡邉: 約5500ある発注機関を網羅しており、約569万件が登録されています。2014年12月にリリースした『NJSSプレミアム』では、落札した会社や金額の情報だけでなく、入札に参加したほかの会社の情報も閲覧できるようになりました。入札を検討する際に、類似の案件がいくらで応札されたのかといった公開情報を参考に分析できます。さまざまな条件で検索も可能で、例えば資料の提出日でソートするといったことも可能です。また、アドバイザーも常駐しているので、気軽に相談していただきたいですね。
――入札に関するサポート体制を整っているのですね。最後に、入札に関心があってもまだ踏み切れていないという方々に向けてメッセージがあればお願いします。
渡邉: とにかく入札に参加してみてほしい、ということですね。ビジネスチャンスがたくさん転がっていますし、参加する障壁は高くありません。ちょっとでも興味があるのならば、まずは資格を取るところから始めて欲しいです。NJSSも、これから入札をはじめようという担当者の方にも使いやすいようなシステムを提供できるよう、改善を図っていきたいと考えています。
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