「女性管理職10%未満」の企業は8割、政府目標30%には程遠く:過半数の企業はゼロ
2020年までに管理職や役員などに占める女性の割合を30%程度に、という目標を政府が掲げているが現状ではどうなのか。帝国データバンクが調査したところ、管理職、役員ともに平均の割合が10%を下回っており、目標に程遠い現状が浮き彫りになった。
安倍政権が掲げる「成長戦略」では、「女性の社会進出」について“2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%程度にすること”を目標としている。公共事業で、女性登用が入札条件の1つになる事業を作る予定があるなど、女性の社会進出をうながす動きはあるが、各企業で女性の登用は進んでいるのだろうか。
帝国データバンクの調べによると、女性管理職の比率が30%以上という企業は5.3%、女性役員の比率が30%以上という企業は11.0%にとどまるという。さらに、半数以上の企業で、管理職や役員に女性がいないことが分かるなど、政府目標に程遠い現状が浮き彫りになった。
女性管理職・役員が多い業界は?
女性管理職・役員の比率は業界ごとに差があるという。業界ごとに女性管理職・役員の平均割合を調べたところ、管理職は平均で6.2%、役員は8.4%となった。
トップは「小売」で管理職が13.3%、役員が15.1%という結果になった。2位以降は「不動産」や「金融」「サービス」と続く一方で、「運輸・倉庫」は管理職が3.8%、役員が1.9%という結果で最も低い。
小売業界に女性管理職が多い理由としては、アパレルや医薬品、雑貨など女性顧客が多い業種が含まれるため。福祉関連や接客業務を中心とするサービス業界も、女性管理職の採用が多いようだ。このほか「企業規模が小さくなるほど割合は高くなる」「上場企業よりも未上場企業の方が割合が高い」といった傾向も見受けられるという。
「今後増える」は約2割
女性の登用を進めているかどうか聞いたところ、「進めている」と45.4%の企業が答えた一方で、「進めていない」との回答した企業も31.2%あるという。その理由としては、「資格対象者、候補者がいない」(40.7%)「業務の内容が女性には向いていない」(31.3%)などが挙がった。
女性の登用を進めていると答えた企業は「男女問わず有能な人材を集める」という目的が最も多く、57.4%の企業が、意欲や能力のある女性を積極的に活用するよう心掛けているという。しかし、今後5年で女性管理職の数が増えると答えた企業は20.9%で、変わらないと答えた企業は61.0%にのぼった。女性役員については、増えると答えた企業は6.3%と管理職よりもさらに少ない。
同社は「調査結果から、政府目標達成のためには相当な努力が必要となる。女性の活躍が進むためにも、経済・社会環境を総合的に捉えて、政府・企業・労働者それぞれにおいて課題を解消していくことが重要」とコメントしている。調査対象は日本全国の1万1017社で、調査期間は2014年7月17日〜7月31日。
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