「デル」の女性は9割以上が産休後に復帰――復帰支える“お互い様”の精神:制度と社風、どちらも必要(1/4 ページ)
女性の社会進出が遅れていると言われる日本で、出産後の女性の職場復帰率が「9割以上」という企業がある。女性が働き続けられる環境を作る秘けつは何か。今年でマネジメント職8年目となるデルの女性社員に聞いた。
「女性の社会進出」という言葉が叫ばれて久しい。今でこそ“働く女性”は珍しい存在ではなくなったが、長く働き続けるとなると話は別だ。あなたの会社はどうだろう。結婚や出産を機にやめてしまう女性社員は少なくないのではないか。
第一子を出産した女性の約6割が会社を辞めると言われている日本。しかしそんな日本にも、出産後の復帰率が9割以上と、驚異的な数字を誇る企業がある。
それはPC関連事業や企業向けソリューション事業で有名な「デル」だ。社員の約30%が女性で、管理職クラスも約15%を女性が占めている。これは決して高くはない数字かもしれないが、女性も男性もプライベートとのバランスを取りながら長期的な戦力としてデルを支えているという。
なぜ、デルは出産後の復帰率が高いのか、どんな支援制度が復帰を支えているのか――。デル法人営業本部 内勤営業統括部長の小野直子氏に、デルの女性たちが高いモチベーションを保ちながら仕事を続けられる理由を聞いた。なお、同氏へのインタビューは、本社の米Dellがテキサス州のオースティンで開催した女性起業家を集めたイベント「Dell Women’s Entrepreneur Network(DWEN)」で行った。
「結婚、出産で会社を辞める人はほとんどいない」
経済協力開発機構(OECD)によると、日本における女性の就業率は69%で(25〜54歳)、これは34カ国中24位と低い。就職後の結婚、そして出産といったライフイベントがキャリア継続を諦める主な要因になっているのだろう。
小野氏によれば、デルでは結婚で会社を辞めるというケースはなく、出産を機に会社を辞める人もほとんどいないという。「産休や育休を消化して復帰しており、2人目を産んで戻ってきたという人も少なくありません。つい先日も、産休に入る部下3人を見送ったところです」(小野氏)。
仕事とプライベートのバランスを確保する、というと「ああ、デルは外資系だからか」と考える人もいるかもしれない。確かに米国本社のDellは、米国の働く母親向け情報誌「Working Mother」で、働きやすい職場トップ100にランクインする常連である。とはいえ、グローバル企業の中には、本社と日本支社の状況は違うという例も少なくない。デルの社内制度はどういうものだろうか。
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