ユニクロとZARAの違いは? そして世界トップ企業の特徴:巨大アパレルの強さ(前編)(2/4 ページ)
ベーシックカジュアルに強みを持つユニクロと、トレンドファッションを全世界で展開しているZARA。街中を歩いていると、両社の看板を目にする機会は多いが、どんな違いがあるのだろうか。流通コンサルタントの齊藤孝浩氏に話を聞いた。
ユニクロとZARAの違い
――そんな中、製造小売業(SPA)という業態が台頭してきていますが、同業他社との比較でユニクロとZARAの違いを一言でいうならばどういったことになるのでしょうか?
齊藤: 多くの伝統的なアパレル企業が、とにかくヒット商品を生まなければならないという考えからどっちつかずの戦略になっている中、ユニクロはベーシック、ZARAはトレンドファッションにフォーカスしていて、戦略が非常に明確です。割りきって考えれば、中に着る無地のモノはユニクロ、トレンドのアイテムはZARAがあればどこに行っても生活できる。それくらいファッションのポートフォリオを上手に埋めていますよね。
――扱っているアイテムが違うということは、両者は競合というよりも共存しているということになるのでしょうか?
齊藤: 今、全身をトレンドファッションで固めている人は少なくなっていて、トレンド性のあるものとベーシックなモノを組み合わせて消費している。DCブランドが台頭しているころは同じブランドで上から下まで着ているということがあったかもしれませんが、今そんなことをすると「痛い」と言われてしまいます。そんな中で、ZARAはトレンド、ユニクロはベーシックと違いが明確ですので、ファッションマーケットの中で共存できているブランドだと思います。
――それでは、ZARAの特徴を聞かせてください。ZARAはスペインに本社があるインデテックスのブランドで、2013年度の売り上げは約2兆1000万円で世界1位です。その中でも齊藤さんは「売れなかった商品情報を重視する」「中心サイズの抜けた商品を売り場が撤去する」といった考え方や発想を重要視されている印象があります。
齊藤: ファッションの場合、パリやミラノなどを頂点としたコレクションのトレンドがあって、そこをベースに世界中のアパレル企業が新しい商品を生み出していくという流れがあります。しかし、一方でメディアを介して女優や人気モデル、読者モデルといった人々が生み出すトレンドもあります。そういったモノを合わせて考えて、仮説を立ててまず店頭に並べる。
その品ぞろえに対するお客さんの反応を見て、店頭は常に人気の商品で満たされているように工夫をしています。そうすることで、値下げをしてバーゲンセールをしなくても済むようにマネジメントをしていることがZARAの特徴の1つです。
関連記事
- アバクロが衰退した原因はどこにあるのか
米国アパレルブランドのアバクロンビー&フィッチが苦境に立たされている。2010年以降、米国内では既に200店舗以上を閉鎖していて、今年も60店舗を閉じる予定だ。かつて若者に絶大な人気を誇ったブランドは、なぜ衰退してしまったのか。 - なぜ男性ファッション誌『smart』は売れているのか
男性向けの雑誌が苦戦している。しかし逆風が吹き荒れる中でも、売れている雑誌がある。それが男性ファッション誌の『smart』だ。販売部数を伸ばしている理由、そして若い男性の心をつかむ秘けつなどを、太田智之編集長に聞いた。 - 3分で分かる、自分に合ったスーツの選び方
自信を持って「自分をスーツを着こなしている」というビジネスパーソンは少ないのでは。そこでものすごく簡単に分かる、スーツの選び方を紹介しよう。 - こんなモノを身につけてはいけない? 男性のNGグッズとは
夫婦間ではどのようなことを言ってはいけないのだろうか。NGキーワードについて聞いたところ、男性に対しては「安月給・出世しない」、女性には「ほか(昔)の女性と比べた発言」がそれぞれトップだった。オーネット調べ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.