ユニクロとZARAの違いは? そして世界トップ企業の特徴:巨大アパレルの強さ(前編)(3/4 ページ)
ベーシックカジュアルに強みを持つユニクロと、トレンドファッションを全世界で展開しているZARA。街中を歩いていると、両社の看板を目にする機会は多いが、どんな違いがあるのだろうか。流通コンサルタントの齊藤孝浩氏に話を聞いた。
物流コストの負担は小さい
――ZARAは88カ国・地域に展開していますが、48時間以内に全世界で同じアイテムを店頭で並べるといったことも特色です。この輸送費の比重は大きな負担のように思えるのですが。
齊藤: 基本的に本社や工場のあるスペイン・ポルトガル・モロッコから遠い国をほどコストがかかるのは事実で、世界で動いている空輸の最大の顧客はインディテックスグループです。しかし、彼らによれば、物流コストは売り上げの1%程度ということなんです。
使っている輸送手段は主に欧州圏でのトラック便が7割で、残りの3割が空輸なのですが、今後この比率が大きく逆転したとしても、売り上げの10%を占めるといったことにはならないと、それほど深刻には考えていないようです。むしろ進出国に合わせた適切な価格を重視しています。
――生産国から離れているところほど価格が上乗せされているのですよね?
齊藤: 私も各国の価格を比較しましたけれど、スペインが一番安くて、次がその周辺のユーロ圏。それで、一番高いのが恐らく日本なのではないかと思われますが、それでも日本のトレンドファッション相場の半額程度で販売されています。だいたい1万5000〜2万円のアイテムが7000〜1万円といった価格ならば、勝負になるだろうということですね。
――相対的に安価なアイテムになっていると。とはいえ、空輸から船便に切り替えて輸送費を抑えるとさらに価格を下げて提供できる可能性もあるのではないでしょうか?
齊藤: 多くの企業がモノを運ぶ時に、コストを中心に考えていますが、例えば1点という単位でも空輸すること自体はできるわけです。もちろん、船よりも飛行機のほうがコストはかかります。しかし、その商品の鮮度や寿命を考えた時に、船便で時間をかけて運ぶと、販売する期間が短くなって最終的には値下げをしてしまうとすると、そちらのコストのほうが大きいんですよね。
もちろん、48時間以内に世界中に届けるというインフラはチャーター便を用意できなければできないのですが、できるだけ早く送って値下げをせずに定価で売るというのは、企業規模に関わらず「やる」か「やらない」のかの違いなのではないかと思います。
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