オンキヨーのハイレゾ戦略の成否は? ヘッドフォン市場への進出と操作性がカギ:シェア拡大の足がかり(2/3 ページ)
オンキヨーの子会社が運営するハイレゾ音源配信サイト「e-onkyo music」が米・英・独でサービスを開始した。ハイレゾ音源の配信を世界展開することで、デジタルオーディオプレイヤーやヘッドフォン市場のシェア拡大の足がかりにしたい考えだ。
オンキヨーの狙いとは
オンキヨーが狙うのは「e-onkyo music」からHDDレコーダーやスマートフォン、ポータブルプレイヤーへ直接配信するリスニングスタイルの構築だ。サイトから直接ダウンロード可能なハイレゾ対応の独自DAPの開発・生産を計画するほか、従来のようにPCを介さずに配信できるHDDプレイヤーなどの機器への普及を図っていく。既に、2014年秋に発売されたパナソニックのHDDレコーダー「DIGA」や、QNAPのオーディオ用NAS(ネットワーク接続HDD)「HS-210」は、「e-onkyo music」で購入したハイレゾ音源を自動ダウンロードが可能となっている。
また、DSD・WAV・AIFF・FLACといった高音質なファーマットに対応したアプリ「オンキヨーHFプレイヤー」をiOS/Android向けに提供。2015年1月末の時点で合計20万ダウンロードを達成している。
オンキヨーによると、2013年のホームオーディオ市場規模は世界で319億ドル(3兆2000億円)。このうち、アップルの「iPod」などのDAPとヘッドフォンが26%ずつを占め、日本の音響メーカーが得意とするホームシアターは全体に17%にすぎない。また、日本のメーカー全体の市場占有率は5%にとどまっており、宮城氏は「既存オーディオは(シェアを)維持拡大し、DAPやヘッドフォン、ワイヤレススピーカーを積極的に拡大していく。ハイレゾ対応の商品を拡販することで、もう一度日本メーカーが主役を担いたい」と話す。
世界戦略の一貫として既に発表されているのが、フィリップス社の音響機器事業を担っているWOOX(ウークス)社と業務提携だ。ヘッドフォンやワイヤレススピーカーを連携して開発・生産するほか、世界100カ国以上で展開しているWOOXの販売網を活用して「ONKYO」ブランドの製品の拡販を狙う。
さらに、英国のMeridian Audio社が開発したハイレゾ音源の新音声フォーマット「MQA」への対応・採用を検討。宮城氏は「年内になんとか組み込みたい」と話し、ソフト・ハード両面で高音質音源のシェアの拡大を図っていく考えだ。
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