中古レコードの「バイヤー」って何をしているの? 買い付け・値付けの奥深さ:仕事をしたら“レコード”が売れた(2/7 ページ)
中古レコードを扱う「HMV record shop 渋谷」が、2014年にオープンした。レコードを店頭に並べるために、バイヤーたちは買い付けに回ったというが、どういった苦労があったのか。店の責任者で、バイヤーとしても活躍する小松正人さんに聞いた。
「専門性」で勝負
土肥: いきなり暗い話からで申し訳ないのですが、新品のCD市場が苦戦していますよね。1998年をピークに生産金額が落ち込んでいて、2013年はとうとう2000億円を割ってしまいました。そうした環境の中で、HMVを展開しているローソンHMVエンタテイメントは中古ビジネスを立ち上げました。
この取材をする前に、中古自動車を販売している知り合いに話を聞いたところ、「新車の販売台数が苦戦しているときには、中古もなかなか売れない」と言っていました。景気に左右されている部分もあるかと思うのですが、それだけではありません。「人気のある新車は中古でもよく売れて、人気のない新車は中古でもなかなか売れない」とも言っていました。
クルマと音楽の中古ビジネスが全く同じわけではないと思うのですが、似ている部分もあるはず。新品のCD市場が厳しい中で、なぜ中古レコードやCDを扱う店を立ち上げられたのでしょうか?
小松: 弊社ではこれまで実店舗のHMVやECサイトで新品のCDやDVDなどを販売してきました。ただ、市場が縮小する中で、何もしないわけにはいきません。売り上げの落ち込みをカバーする形で中古ビジネスを立ち上げることにしました。
土肥: とはいっても、すでに競合がたくさんいますよね。リアルの世界では、BOOKOFF、TSUTAYA、ネットの世界では、Amazon、ヤフオク! など。
小松: 規模や知名度などで勝負されているところが多いので、この市場に割って入っていくのはなかなか難しい。そうした中で、自分たちの強みを生かした形でどういったビジネスができるのか。いろいろ考えた結果、「専門性」にたどりつきました。自分たちは、ずーっと音楽を売ってきました。その専門性を生かすために、レコードは不可欠。ということで、レコードをたくさん扱う店をオープンすることにしました。
オープン当初の在庫はレコード6割、CD4割だったのですが、現在はレコード7割、CD3割。予想以上に、レコードを好まれるお客さまが多いことが分かってきたので、レコードの在庫を増やしました。
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