脳波で分かってきた「お金の心理」:お金もセンス(2/4 ページ)
人は「本音と建前」を使い分けながら生きている――。このように言われているが、本音の部分を把握することは難しい。しかし、脳派を分析することで意外な事実が明らかに。それは……。
アンケートの答えに疑問
ところで、無自覚に行われている、このお金にかかわる行動や感情を正しく把握することは金融マーケティングにおいて非常に重要である。なぜかというと、本人さえ自覚していない人間の裏の部分にこそ、本当のニーズが隠されていることが多いからだ。従って心理の奥底にあるインサイトをどのように探っていくか、ここがマーケッターの腕の見せ所でもある。
当然ながら、アンケートを中心とした定量調査、そしてフォーカスグループインタビューを中心とした定性調査ということになる。しかし、最近「アンケートの答えは、その人の本音ではないのでは?」「取り繕った答えではないか?」「そもそも、質問の意図を分かっていないのでは?」そうした意見が、金融マーケティングに携わる実務担当者から出てきている。
理由はいくつかあるだろう。まずは、日本人の特性だ。私たち日本人はとかくお金のことについて語るのを極力避けようとする習性がある。お金を稼いでいても、逆にお金がなくて困窮していても、そのことを他人に露見されたくない。そっとしておいてほしいし、できれば隠したいという意識を強く持っている。
アンケートですら本心をさらけ出すことに抵抗があるのも理解できる話だ。さらに、見栄やプライドも関係している。本当は金融リテラシーがないのに、まったく金融知識を持っていないのも体裁が悪い。なので、それを取り繕うような答えをしてしまうというわけだ。
また、金融リテラシーだけでなく、そもそもお金に対するポリシーを持っていない人も少なくない。普段からお金に対してなんら意識することがないのに、急にアンケートをお願いされても、答えられるわけがないのだ。加えて、前述したように、本人さえ自分の本音や裏の部分を把握しきれていないという事情もある。
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