イオンや富士通など異業種の民間企業による農業分野参入が相次ぐ中、トヨタ自動車も農業支援を加速している。
トヨタが開発した米生産農業法人向けの農業IT管理ツール「豊作計画」をJAグループ愛知の組合員農家に導入することを2月26日に発表した。2015年は「JAあいち海部」および「JAあいち豊田」管内の農家4戸に先行導入し、2016年以降、県内全域に対象を拡大する予定だ。
豊作計画は、トヨタが自動車事業で培った生産管理手法や工程改善ノウハウを農業分野に応用したクラウド型サービス。利用者は作物の納期スケジュールなどの情報を事前に登録すると、対象となるそれぞれの水田に対して日ごとの作業計画が自動生成される。
トヨタは既に2014年4月から農林水産省主催の「先端モデル農業確立実証事業」に参画し、愛知県と石川県の米生産農業法人9社および石川県と共同でコンソーシアム「米づくりカイゼンネットワーク」を立ち上げ、豊作計画を提供している。例えば、愛知県弥富市の米生産農業法人・鍋八農産では、豊作計画の活用によって以前と比べて労務費が5%削減、育苗のための設備などにかかる資材費が25%削減した。(関連記事:トヨタ流米作りで“ニッポン農業”を強く、元気に)
農家の環境変化に対応
トヨタとJAグループ愛知は、農地情報のクラウド登録や作業者のスマートフォンへの登録など組合員農家に対する導入サポートを共同で実施。また、JAグループ愛知は豊作計画で集積したデータを活用して経営改善提案を行う。
JAグループ愛知では、従来から組合員農家に対して栽培指導や生産性の向上などの経営指導を行っているが、米価低迷など農家を取り巻く環境の変化に対応することが急務となっていた。豊作計画を使うことで、生産実績や農業機械の稼働率などのデータを詳細に把握し、農家の生産性向上や作業の効率化などを目指す。
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