インタビュー
3Dプリンターで、飛行機づくりはどう変わる?――エアバスの場合:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(1/2 ページ)
3Dプリンター技術が、旅客機づくりに生かされはじめている。最新鋭機「A350XWB」や、総2階建て機「A380」の製造・組み立てが進むエアバスのハンブルク工場で、開発チームリーダーのピーター・サンダー氏に話を聞いた。
話題の3Dプリンター技術が、旅客機の製造に生かされはじめている。エアバスの最新鋭機A350XWBの製造・組み立てラインを取材するために訪れたドイツ・ハンブルク工場で、私はそのことを目の当たりにした。
バイオニック・デザインを駆使して
「この部品をご覧ください。これは動物の骨格を参考にして設計しています。従来の部品と同じ強度で、3割も軽くできました」
奇妙な形をした金属パーツを手にそう説明してくれたのは、ピーター・サンダー氏。3Dプリンターを近未来の旅客機づくりに役立てる――そんなテーマで研究・開発に取り組むプロジェクトチームのリーダーだ。
サンダー氏が見せてくれたのは、旅客機のギャレー(厨房施設)にさまざまなキッチン器具を据え付けるための金属部品。チタンの粉末をレーザーで焼き固めていく3Dプリンターで作った。生物の構造や組織、発生・進化を研究してモノの設計に応用する“バイオニック・デザイン”が駆使されている。
「生物の形を追求すると、強さや軽さの面で圧倒的に優れていることが分かります。しかしコンピュータ上で計算はできるものの、造形があまりに繊細で、旧来の製造方法では容易には作れませんでした。それが、3Dプリンターを使うことで実際のものとして出力できる。画期的なことです」
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