VAIO Phone発表で日本通信の株価が急落:シンプルすぎる端末(2/2 ページ)
日本通信は3月20日より「VAIO Phone」を販売する。端末の分割価格+LTE使い放題で月額3980円と安価だが、この発表後に日本通信の株価が急落。VAIO Phoneとはどのような端末なのか。
なぜ日本通信株は売られたのか
GoogleのNexusシリーズに代表されるように、余計なアプリがインストールされていない、“素”のAndroid端末は、実は非常に使い勝手が良い。そのため筆者個人の感想としては、VAIO Phoneのような端末が日本企業の名やブランドで販売され、日本市場でも注目されるようになるのは、決して悪いことではないと思う。
ただ問題は、VAIO Phoneはあくまで日本通信の製品であり、VAIOは「デザイン協力」しただけという事実が世間にはほとんど伝わっていないということだ。端末を開発・製造しているのはVAIOではないから、同社の本来の持ち味である高密度実装技術や放熱技術も生かしようがない。
同社のスマートフォンへの取り組みは今回あくまで第1弾である。今後、もし本気でVAIOがスマートフォンを開発したら、非常に凝った作りの端末や、AndroidではなくWindows PhoneがVAIOブランドで出てくることもありうる(発表会後の囲み取材ではVAIO関取社長は、それらの質問を否定しなかった)。
ただ、実際に今回登場したVAIO Phoneはあまりに「フツー」の端末すぎた。世間が“VAIO”という名前に期待するものは「それじゃない」ということなのだろう、期待値と実際に出てきた端末のギャップが大量売りにつながった。日本通信株の急激な下がりぶりは、逆説的に言えばそれだけ、みんなのVAIOブランドへの期待を表している、とも言えそうだ。
関連記事
- 新生VAIO、“ソニーじゃなくなる”とどうなる?
VAIOがなくなる? こんな心配もあったが、ソニーから分離した新生「VAIO株式会社」が7月1日に無事発足した。ただ「ソニーのVAIO」でなくなった弊害はないのか。いくつかの疑問をひもとこう。 - VAIOな男性、VAIOな女性――データから見るペルソナ図鑑
デザイン性に優れたPCとして、1990年代後半に登場したソニーのVAIO。現在、VAIOノートPCを使っている人にはどのような傾向があるのでしょうか。 - type P以来の付き合い、日本通信と:高級でも格安でもないスマホを――VAIOがスマホ市場に参入
VAIOと日本通信がタッグを組み、スマートフォン市場に参入する。二極化の進む同市場の隙間を狙うという。 - シニア世代の不満を解消 イオンが格安スマホを販売する理由
楽天も参入してますます過熱する格安スマホサービス市場。その先駆けとして格安スマホの販売を始めたイオングループが目指すものとは――。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.