『マッサン』ブームに終わらせない! ニッカウヰスキー、“強気”の背景:拡大戦略(2/2 ページ)
アサヒビールは4月7日に、ニッカウヰスキーブランドから缶ハイボール3製品を発売する。また、飲食店向けのサーバの目標設置店数を上方修正、数量限定の復刻版の発売も合わせて、ブランドイメージをさらに強化したい考えだ。
強気の背景
強気の背景には、竹鶴氏とリタをモデルにしたNHK連続ドラマ小説『マッサン』の存在がある。1万5000箱限定発売の「初号スーパーニッカ復刻版」は、リタが1961年に亡くなり、竹鶴氏が養子である威氏と北海道余市の研究所にひきこもり哀悼を込めて完成させたというプレミアム・ブレンデッドウイスキーを再現したもので、1962年に発売したラベルデザインをベースにしている。マッサンの第一話で登場する「スーパーエリー」は、この「スーパーニッカ」をモデルにしたものだ。
もともと、2014年のアサヒ国産ウイスキーの販売数量は前年比123%だったが、2015年1〜2月の累計は前年比160%、特に竹鶴ブランドは前年比384%と大幅に伸びている。ドラマにより認知度が上がり、若年層や女性にもシェアが広がっていることも、ハイボールの本格展開に踏み切った理由となった。
市場拡大のカギになりそうなのが、ニーズの高まりに合わせた安定供給の実現だ。2015年6月にはパッケージングを行う柏工場を増やし、ウイスキーとハイボールを合わせて「合計300万箱を目指していきたい」(平野氏)というが、原酒の確保に課題が残る。このため、「輸出も好評で、海外観光客のインバウンド需要も見込める」(同)としながら、当面は国内市場を優先した展開を進めていくという。
ニッカでは、缶ハイボール新製品に合わせたプロモーションのほか、主力の「ブラックニッカ」ブランドでも4月7日から5月31日まで応募シールのポイントを集めることでレザーコースターがプレゼントされるキャンペーンを実施。店舗用の「フリージングハイボール」のサーバ設置店舗も年間5000店を目標に掲げるなど、家庭用と業務用を連動させたブランド強化を図る。
平野氏は「ウイスキー市場は2年〜3年後も継続して伸びていくと考えている。プレミアム価格帯でナンバーワンを取りたい」と話し、マッサンで上がったニッカブランドの認知を商機に生かしたいという思惑をにじませた。缶ハイボール新製品全てのパッケージに竹鶴氏の写真を配置するなど、「日本のウイスキーの父」からはじまる80年の歴史を前面に出した戦略の成否に注目が集まりそうだ。
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