「再開発で世界からもっと注目される“SHIBUYA”に」――東急電鉄・野本社長:3カ年経営計画(1/2 ページ)
2020年の東京五輪、2022年の創立100周年に向けて、東急電鉄が事業拡大を加速している。その取り組みを具体的に示す新たな中期3カ年経営計画が発表された。
東京急行電鉄は3月27日、2015年度を初年度とする中期3カ年経営計画を発表した。2017年度には東急EBITDA(営業利益+減価償却費+固定資産除却費+のれん償却費+受取利息配当+持分法投資損益)を1690億円に、営業利益を750億円に伸長させる。
2020年に開催する東京五輪、さらには会社創立100周年にあたる2022年に向け、東急電鉄ではさまざまな大型開発プロジェクトが進行中。「この3年は飛躍のための大事なステップ期間だ」と同社の野本弘文社長は強調した。
営業利益を1000億円に
最新の決算発表によると、東急電鉄の2014年度通期の連結業績予想は、営業収益1兆688億円(対前年比1.3%減)、営業利益700億円(同12.6%増)、経常利益635億円(同1.4%増)、純利益380億円(同32.7%減)だった。鉄軌道業における工事費用などの減少や不動産賃貸業の好調などによって営業利益は増益となったが、持分変動利益や固定資産売却益などの減少で純利益は減益となった。
また、東急EBITDAは1580億円と予想する。これを2017年度には東急EBITDAを110億円増の1690億円、営業利益を50億円増の750億円にまで引き上げるのが、新たな中期経営計画で示されている。
この先に見据えるのは、2022年度の目標指標とする2000億円の東急EBITDA、1000億円の営業利益だ。この数字は野本氏が社長就任当初から掲げていたが、これまで公表はなかった。「当時は壮大だった目標が現実味を帯びてきたことで、初めて対外的に公表した」と野本氏は述べる。
世界から注目される「SHIBUYA」
新中期経営計画の重点施策は、「安心感と満足感のより一層の充実」「沿線開発と不動産事業のさらなる推進」「ライフスタイル&ワークスタイルイノベーションの推進」「グループの経営資源を生かした新たな取り組み」の4つ。
2015年度から2017年度の3年間で投資額は4500億円を見込んでいる。既存事業の更新投資が2500億円(例えば、鉄軌道が1500億円、安全投資が800億円)で、成長投資は2000億円。成長投資の内訳は、渋谷再開発が770億円、沿線開発が530億円、海外展開など戦略案件が700億円となっている。
施策の具体的な中身を見てみよう。安全性を高めるために、2020年を目標に東横線、田園都市線、大井町線の全64駅にホームドアを整備するほか、全踏切に高機能な検知装置を設置、異常気象や大規模地震を想定した設計基準の見直しと設備への反映など、ハード面の整備に力を入れる。
沿線開発および不動産事業の目玉は、渋谷の再開発だ。既に渋谷駅周辺を舞台に大規模な開発プロジェクトの工事がスタートしている。2017年度には渋谷宮下町計画が、2018年度渋谷駅南街区計画が完了する予定で、2020年には渋谷駅街区・東棟が開業する。東棟は渋谷ヒカリエよりも50メートル高い約230メートル、地上46階建ての巨大ビルである。その後に中央棟および西棟を建設し、渋谷駅街区全体が完成するのは2027年度を予定している。
「現在も渋谷はファッションやトレンドの発信地だが、今後さらに世界中から注目を集める“エンタテイメントシティ SHIBUYA”を実現し、人々が日本一訪れたいと思う街にしたい」(野本氏)
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