ワタミが日本酒ブランド「獺祭 等外」を限定販売:客足伸ばせ
人気の日本酒ブランド「獺祭」のシリーズ商品をワタミフードシステムズが店舗で限定販売する。客足が遠のくのを抑えるきっかけとなるか。
居酒屋チェーン「和民」などを展開するワタミフードシステムズは4月7日から日本酒ブランド「獺祭」(だっさい)の派生商品である「獺祭 等外」を店舗で限定販売する。価格戦略などに失敗して長らく低迷している来店客数の増加に向けた呼び水にしたい考えだ。
獺祭は旭酒造が製造する日本酒ブランド。酒造好適米の山田錦のみを使用する“高級日本酒”として知られており、海外でも人気が高い。旭酒造全体の売上高は2010年には13億円だったのが、獺祭の人気に拍車がかかり、2013年には3倍の39億円に達した。
今回販売する獺祭 等外は、原料に等外米を用いたもの。一般的に純米大吟醸の日本酒は等級米を使用するが、等外米を精米することで純米大吟醸の獺祭とそん色ないほどに品質を高めたという。
ただし純米大吟醸と比べて劣化は速い。旭酒造の桜井博志社長は「製造から3カ月後には品質が落ちる」と話す。そこで鮮度の高いまま消費者に飲んでもらうためには市場に提供するのではなく、以前から取引のあるワタミの居酒屋チェーンで販売するのが好ましいと判断した。
「当面はワタミグループの居酒屋チェーンで先行的に販売し、6月〜7月ごろから百貨店や酒販店などでも少しずつ販売していきたい」と桜井氏は語る。
獺祭 等外は、「和民」、「坐・和民」、「わたみん家」の3つのチェーン全店で提供する。和民および坐・和民ではグラス1杯(約120ミリリットル)で890円(税別)、わたみん家では899円(同)。ワタミフードシステムズは以前からいくつかの店舗で獺祭ブランドを販売しており、「例えば、坐・和民の銀座土橋店では1日1本は必ずオーダーされるほどの人気ぶり」(同社 商品開発責任者の菊本哲氏)だという。
直近の2015年3月期 第3四半期決算で27億500万円の営業損失を出すなど、業績不振が続くワタミの国内外食事業。打開策として居酒屋チェーンのメニュー価格を引き下げるなどして顧客の取り込みを図っている。その中で獺祭 等外は高付加価値商品として顧客にアピールしたいとした。
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