レトルトカレーはブランドが多いのに、なぜカレールーは少ないのか:水曜インタビュー劇場(3/5 ページ)
スーパーのカレーコーナーを見ると、レトルトカレーにはたくさんのブランドがあるのに、カレールーは大手3社の商品がズラリ。なぜこうした現象が起きているのだろうか。ハウス食品の担当者に話を聞いたところ……。
「味の改良」に力を入れている
土肥: バーモントカレーは発売してから累計で700億食以上売れているそうですね(2014年3月末時点、国内のみ)。発売してからジワジワと売れたのではなく、一気に火がついて、その後50年以上も売れ続けている。半世紀以上もトップブランドで居続けているのにはワケがあるはずなのですが、どういった点に気をつけているのでしょうか?
広報部: 最も気をつけていることは「味の改良」ですね。ただ、お客さまに「味が変わったな」と感じられてはいけません。
土肥: どういう意味でしょうか?
広報部: 例えば、お客さまに、従来のルーと改良したルーを食べ比べていただきます。どちらがおいしいですか? と聞いて「改良したほう」と答えた人に、従来のモノと新しいモノと味にどのような違いがありますか? と聞いても、ほとんどの人はうまく答えることができません。そんなレベルの改良なんですよ。
ただ、1963年に発売したモノと現在発売しているモノとの味には大きな違いがあります。まず、見た目が違う。前回、中国で発売しているバーモントカレーは「黄色」という話をさせていただきましたが、日本でも発売時のモノは黄色でした。現在発売しているモノは「茶褐色」ですが、なぜこういう色になったのか。アンケート調査で、茶褐色のほうが「じっくり煮込まれた感が出ている」「味にコクがあるように感じる」「おいしさを感じる」といった声が多かった。なので、いまのルーは意図的に茶褐色にしているんですよ。
土肥: 味の改良はどのようにして決められるのでしょうか? 料理長のような人がいて、「オレが好きな味はこれだ」「次にくる味はこれだ」といった感じで決めているのでしょうか?
広報部: いえ、違います。お客さまに、定期的にバーモントカレーを召し上がっていただく。そして、どういった味のカレーが好きですか? といった質問をして、その答えをベースに味を組み立てています。
ただ、根幹の部分は変えていません。改良したモノを食べても「これはバーモントカレー」と感じてもらわなければいけません。
土肥: 味は辛くなっているのですか? 色が黄色から茶褐色になったということなので、辛さも少しずつ加わっているイメージがあるのですが。
広報部: いえ、そんなことはありません。「辛いカレーが好き」という人の割合は増えているのですが、バーモントカレーに関しては辛くしていません。最近の販売データをみても、甘口の売り上げは伸びていますね。
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