KADOKAWAが「復刻版 戦中戦後時刻表」を“再復刻” ただし販売は未定:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/5 ページ)
出版・映像メディア大手のKADOKAWAは、クラウドファンディングの手法を取り入れた受注販売サイトを3月30日に公開した。スタートアップの品目は3つ。その中に「復刻版 戦中戦後時刻表」がある。
一人一人の強いニーズがある
ketsujitsuになぜ時刻表復刻版が選ばれたか。KADOKAWAに聞いてみた。ketsujitsuを始めた理由について「KADOKAWAは出版事業をはじめ、映画、音楽、アニメ、ゲーム、ネットコンテンツ、イベントなど、幅広いコンテンツ事業を展開しています。さらにKADOKAWAファンには、いわゆる“マニア”と呼ばれる人たちがとても多いとも考えています。ketsujitsuはこうした“少人数ではあるが、一人一人の強いニーズ”にお応えするにはピッタリのサービスと考えました」とのことだ。
時刻表復刻版を選んだ理由は、一人一人の強いニーズに合致するから。グループ再編成で各社各ブランドのコンテンツ情報を集めたときに、時刻表復刻版の存在が共有された。「歴史と鉄道という、とてもマニアックな組み合わせで、KADOKAWAらしい企画と考えました。即決でした」とのこと。ほかの時刻表復刻版についても準備を進めており、5月中には別のボックスが登場する予定という。「今回の戦中戦後時刻表と同様にマニアックで希少性の高い中身です。ご期待下さい」(同社)。
ところで、時刻表に限らず、絶版書籍の復刻には「復刊ドットコム」というサービスがある。復刊ドットコムの運営で、TSUTAYAなどを手掛けるカルチュア・コンビニエンス・クラブの100%出資会社だ。こちらは会員の要望を集め、出版社に対して復刊をリクエストし、版権者(社)で復刊されない場合は復刊ドットコムが権利を受けて再刊行する仕組みになっている。
ketsujitsuもリクエストを受け付けてもらえるだろうか。KADOKAWAグループにはほかにも魅力的な本がある。鉄道ファンにとっては「宮脇俊三鉄道紀行全集」が1998年に角川書店から刊行されている。これについては「現状は“KADOKAWAからのプロジェクト発信”になっていますが、できるだけ早くユーザーからの要望に応えられるよう準備しています」とのことだ。KADOKAWAが持つすべてのジャンルが対象だろうから、鉄道ファン以外にも良い話だろう。
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