「レジリエンス」ブームとサントリーの微妙な関係:スピン経済の歩き方(4/4 ページ)
「レジリエンス」という言葉をご存じだろうか。心理学用語で「精神回復力」と訳され、欧米では古くから定着している。日本でもメディアが報じたことで話題になっているが、このブームはサントリーにとって“追い風”になるかもしれない。その理由は……。
サントリーの今後の展開
実は幅広い品ぞろえがあるサントリーさんだがレッドブル(Red Bull)やライジン(RAIZIN:大正製薬)、バーン(burn:コカ・コーラ)にあたるエナジードリンクがない。国内シェア上位を占める「デカビタC(DEKAVITA C)」はあるものの、これはレッドブルやモンスター・エナジー(MONSTER ENERGY)、ロックスター(Rockstar)など世界的エナジードリンクと競合するというイメージはない。80年近い歴史をもち、製薬会社がつくったというルコゼードならば、十分過ぎるほどライバルと渡り合うポテンシャルがあるように思う。
タイミングもいい。奇しくもこの売却話がまとまってほどなく日本でも「レジリエンス」が盛んに言われるようになっているが、実はルコゼードの発売当初のキャッチコピーは、「回復をサポートする」――。つまり、「元祖レジリエンス飲料」だったのだ。
最近、サントリーはC.C.レモン(C.C.Lemon)のキャラクターに松岡修造さんを起用したことが大きな話題になった。松岡さんといえば、ご存じのように「崖っぷち、だーい好き」なんて語録も注目される“レジリエンスの塊”。C.C.レモンで「元気応援プロジェクト」なんてキャンペーンを始めた今こそ、レジリエンス普及の絶好の機会ではないかと個人的には思うけれど。
さらに“追い風”もある。今月からスタートした機能性表示制度を活用すれば(関連記事)、先ほどの「ブドウ糖であなたのレジリエンスを高めます」なんてこともうたえる……かもしれないのだ。
ここまでトントン拍子で環境整備が進む話というのはそうそうない。そこでサントリーさんに提案なのですが、昨今の「レジリエンス」ブームを受けて、「日本初のレジリエンス飲料」なんてのをつくってみるというのはいかがでしょう。
ま、もうすでにやっているのかもしれませんけどね。
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