宅配は大手だけではない! 自転車を駆使して稼ぐエコ配:進化する物流ビジネス最前線(2/2 ページ)
ヤマト運輸や佐川急便など大手宅配企業の隙間を突いたビジネスモデルで業績を伸ばしているベンチャーがある。自転車を使った宅配サービスを提供するエコ配だ。
都市型のロジスティクスを
それに向けた施策がユニークな人材活用である。現在、全拠点で約500人の配送スタッフを抱えているが、宅配業界全体で人手不足が叫ばれているように、エコ配でも人材確保は喫緊の課題である。新卒社員の採用を続けていく一方で、主婦や学生などが空き時間を有効活用して働ける仕組みを作っていきたいとする。
例えば、都内で買い物の合間にちょっと時間が空いたので、エコ配の営業所に行き、荷物を運んでアルバイト料を貰うといったイメージだ。「小型の荷物しかないので女性でも運べるし、自転車なら運転免許もいらない。誰もが空き時間を使って気軽に働けるようにしたい」と片地氏は話す。
もう1つ、既に取り組んでいるのが、シングルマザー/シングルファザーの支援である。そうした社員には育児手当として第1子に月額1万円、第2子以降には月額5000円を支給する。将来的には託児所を設けるなどして、長く仕事を続けれるような職場環境を提供する。
「労働人口が将来さらに減少する中、正社員以外の労働力が重要になるのは間違いない」(片地氏)
今後のビジネス展望について、片地氏は「世界で類を見ない都市型のロジスティクスを実現する」と意気込む。人員を増やすことで今以上に配送スタッフ一人当たりの担当エリアを小さくし、その分、顧客に対するサービスレベルを高める。「担当エリアのことは隅から隅まで知り尽くして、顧客のどんな要望にもすぐに応えられる“御用聞き”ビジネスを展開したい」と片地氏は語る。
まずは東京23区で完璧なロジスティクスを作り上げることに専念する。現状では海外進出や国内で営業地域を広げる予定はないという。一般消費者向けの宅配サービスも行っているが、引き続きB2Bを主力に事業を伸ばしていく考えだ。
関連記事
- 人手不足が深刻な宅配企業、次の一手は?
ネット通販の普及によって宅配便の取り扱い個数が急増。併せて顧客サービスの拡充にも取り組んできた宅配企業は今、現場が限界を迎えつつある……。 - 「クルマ+人力」は効率的なのか? ローソン+佐川急便の物流システム
コンビニ大手のローソンが、佐川急便を傘下に持つSGホールディングスと合弁会社を設立し、宅配事業に乗り出す。ローソンの店舗でサービスを展開し、半径500メートルの消費者を囲い込む。 - 配達の“遅れ”が少なくなる? 佐川急便の数年後
佐川急便は2014年の春から、ビッグデータを本格的に稼働させている。特に「品質」と「実績」に注目しているというが、どういう意味なのか。IT部門を担当している部長に話を聞いたところ……数年後の姿が見えてきた!? - もうすぐ40年! 宅急便のこれまでとこれから
日本全国、翌日に荷物を送れる。通販で食品を買えば冷凍・冷蔵便で希望の日時に到着する……日本人にとっていまや当たり前になったサービス・宅急便はどのように進化してきたのか? 宅配業界1位のヤマト運輸に取材した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.