急増する出荷量にファッションECサービス・マガシークはどう対応?:進化する物流ビジネス最前線(1/3 ページ)
女性向けファッション通販サイト「MAGASEEK」などを展開するマガシークでは、会社設立以来、物流倉庫における大小さまざまなな改善活動に取り組んできた。現在は1日で約8000点の商品を出荷しているが、その数はまだ増え続けていくという……。
「商品量は増え続ける一方。人海戦術にも限界が来ている」――。こう語るのは、ファッション通販サイト「MAGASEEK」などを運営するマガシークで物流部門を統括する北川誠フルフィルメント本部長だ。
マガシークは2003年4月に創業。主に女性向けファッション商品のインターネット販売で事業を伸ばしてきた。2013年3月にNTTドコモの子会社となり、現在はMAGASEEKのほか、アウトレット通販サイト「OUTLET PEAK」、NTTドコモが提供するファッション通販サイト「d fashion」を運営する。3サイトの総会員数は2014年5月に200万人を突破した。業績については、NTTドコモの子会社化により現在は非公開だが、上場廃止直前の2013年3月期通期決算は売上高94億8700万円だった。
同社のビジネスを支える最前線の現場といえるのが商品倉庫である。神奈川県座間市にある物流施設「プロロジスパーク座間2」内に設置し、70万点の商品、600ブランド以上を取り扱う。1日平均で商品の入庫数は約1万点、出荷数は7000〜8000点。年末年始セールなどの繁忙期だと入庫は2万点、出荷は1万2000点を超える。
注文から納品までの裏側の流れはこうだ。ユーザーが通販サイトで注文すると、1時間半ほどで注文キャンセルができなくなる。そこからある程度の時間を区切って受注データを確定し、出荷指示データを倉庫に送る。そのデータを基に翌朝一番で注文商品のピッキングリストを作成して出荷作業に入る。配送パートナーである日本郵便への荷物渡しが18時ごろとなっているので、それまでに作業を完了させる必要がある。
ただし、マガシークでは倉庫における物量そのものが年々増加しており、それを効率的にさばくことが急務だという。人員を充当して対応するものの、それだけ人件費がかさんでしまう。従って、それ以外の方法でも改善を図っていかなければならないのである。
「出荷数の伸びと同様に人員の数も増えていては駄目だ。そうならないように細かな部分でもしっかりと効率化する必要がある」(北川氏)
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