超一流ではなかった真中監督が、チームを再建させた方法:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)
東京ヤクルトスワローズが首位を快走している。2年連続で最下位だったチームは、なぜスタートダッシュを切ることができたのか。スポーツライターの臼北氏は、2014年10月に就任した真中満監督に注目している。
「ID野球」のいい部分を踏襲
各選手へ「自主性」を持たせる指導法は、あの名将・野村克也氏の方法論でもある。かつて野村氏がヤクルトの指揮官として「ID野球」を徹底させていた時代、当時現役だった真中氏もその門下生として1993年から1998年までの7シーズンに渡って「ただ言われたことをやるだけではなく、常に考えながらプレーすること」の大切さを徹底的に叩き込まれていた。
「かつて野村監督から教えていただいたことも踏まえて、ボクは『ID野球』のいい部分を踏襲していきたい」とは就任して間もない時に所信表明した真中監督の弁である。
確かにここ数年のヤクルトには選手の間に“この危機を乗り越えて行こう”“オレたちが何とかしなければいけない”という自主的かつ前向きなムードがほとんど感じられなかった。前任監督の小川淳司氏は2010年シーズン途中から昨季までヤクルト指揮官としてチームを率いて在任中に2度のクライマックスシリーズ進出を果たす立派な功績を残したものの、特に最後の2シーズンは持ち前のソフト路線が選手たちに甘えの構造を生み出してしまい、ひいては個々の自主性も喪失させてしまうマイナス要素になったきらいも実のところあった。
こういう現状に誰よりも歯がゆさを覚えていたのが真中監督である。もう一度スワローズの原点に立ち返って、必ずや頂点に立とう――。それを開幕後と同時にチームの合言葉にして一戦必勝を心がけ、一歩一歩着実に勝利をもぎ取って白星を積み重ねてきた。
野球だけでなく私生活の面でもしっかりと選手たちに考えさせることで自主性が芽生え、今や大半の主力選手が反省点や課題、そしてプラスになったことなどをノートに一語一句書き込むようにまでなった。これは、まるで野村ID野球の時代にタイムスリップしたかのような光景である。
「まだ開幕して1カ月強だが、真中という男が正直ここまでやるとは思っていなかった。これは我々にとって本当にうれしい誤算だと言い切れる」と真中監督誕生に尽力したヤクルトの球団幹部もホッと胸を撫(な)で下ろしている。
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