だからリニアも? 名古屋都市圏は新しい乗りものがお好き:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/5 ページ)
JR東日本が東北新幹線で時速400キロメートル運転を目標とし、JR東海の磁気浮上式リニア中央新幹線が予定する時速500キロメートルに近づいた。それなら中央新幹線は従来の鉄輪式新幹線でも良いのでは? JR東海がリニアにこだわる理由は、意外と……。
名古屋都市圏の栄枯盛衰
こうした真面目な理由を踏まえて、リニアが選ばれた理由を付け加えるなら「名古屋都市圏の人々は新しい乗りものが好き」だからかもしれない。新しい乗りものとは、ガイドウェイ式バス、リニモ、新交通システム、跨座式モノレールなどだ。ここで、名古屋都市圏の交通技術「先取りの文化」を振り返ってみよう。
「ガイドウェイバス」
ガイドウェイと呼ばれる専用道路を走るバス。おもちゃのミニ四駆のように、バスのタイヤのそばに小さなガイド車輪があって、ハンドル操作なしでカーブ区間を走行できる。バスは郊外で一般道路を走り、都心の混雑区間はガイドウェイ区間に乗り入れて定時性を確保する。
名古屋のガイドウェイバスは「ゆとりーとライン」の愛称があり、ガイドウェイ区間は大曽根駅〜小幡緑地駅間だ。小幡緑地駅から先は一般道路を走り、高蔵寺方面、印場方面、志段味サイエンスパーク方面を結ぶ運行系統がある。バスが専用区間を走るという意味では、三陸方面で活躍するBRT(バス・ラピッド・トランジット、バス高速輸送システム)のお手本ともいえる。ただしガイドウェイ方式は名古屋だけだ。
ガイドウェイ区間は名古屋ガイドウェイバスが運行し、専用バスも同社が保有する。ただし運行は名古屋市交通局に委託されている。
名古屋は一般道のバス専用レーンも特徴的だ。バス専用レーンは各地にあるけれど、名古屋市営バスの基幹バス2号系統は徹底しており、中央分離帯側に専用レーンがあり、交差点にはバス専用信号機も設置されている。まるで路面電車のバス版だ。
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