ベネッセHD、前期は107億円の最終赤字 情報漏えい事件で通信教育会員が大幅減
昨年7月に発覚した顧客情報漏えい事件が大打撃。国内通信教育事業が落ち込み、ベネッセホールディングスの2015年3月期通期決算は減収減益となった。
教育事業などを展開するベネッセホールディングスが5月1日に発表した2015年3月期通期の連結決算は減収減益となった。最終利益は2014年7月に発覚した顧客情報漏えい事件などの影響で107億円以上の大幅赤字に転落した。
連結売上高は前年同期比0.7%減の4632億6400万円。主力の通信教育講座「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の在籍数が減少したことや、通信販売事業および雑誌事業の減収、食材宅配事業の撤退に伴う減収が響いた。2015年4月時点の進研ゼミおよびこどもちゃれんじの会員数は271万人で、対前年同月比94万人減となっている。
営業利益は同18.4%減の292億2700万円、経常利益は同23.8%減の268億3800万円だった。進研ゼミでタブレット教材を導入するなどでコストが増加した。当期純利益は107億500万円の赤字(前期は199億3000万円の黒字)。約2895万件に上る顧客の個人情報流出に伴い、情報セキュリティ対策費260億3900万円を特別損失として計上したのが大きい。
セグメント別では海外教育事業が伸びた。売上高は210億600万円(対前期比17.9%増)、営業利益は13億6700万円に黒字転換した(前期は6億9800万円の赤字)。中国を中心に海外通信教育講座の会員数が増加したことや、円安による為替換算時のプラス影響が出た。
2016年3月期の業績については減収減益と予想。売上高は4592億円(前期比0.9%減)、営業利益は135億円(同53.8%減)、経常利益は116億円(同56.8%減)、当期純利益は38億円を見込む。特に国内通信教育事業の立て直しを急ぐ。
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