お客さんからの頼まれごとに「思わぬニーズ」が隠れている
では、次に営業マンの5番目の仕事とはなんでしょうか? 今度は「ごめんなさい情報のアンテナ係」という仕事です。
営業の現場にいると「ねぇねぇねぇ、こんな話をあなたに聞くのは筋違いかもしれないけど、知っていたら教えてほしいんだけど……」と質問されることがあります。もちろん、ほとんどの営業マンは「やってないです。すみません。ごめんなさい」と言ってやりすごしてしまいます。
ところが、そんな情報が、次の新規事業のアイデアになることがあるのです。わたしの会社を例にお話ししましょう。
ある日、クライアントから質問されたことがあります。
「佐藤先生って営業トークが得意ですよね。もし知っていたら教えてほしいんですよ。デキる営業マンって、採用するときにどうやって見抜けばいいんですかね?」
そのときの私は、「うーん。採用面接ですか? それはよく分からないですね。すみません」と断ることしかできませんでした。
さらに数カ月が経過したとき、また求人についての同じような質問があったのです。
「あー、以前も同じ質問をされたことがあるんですけど、採用面接はね、分からないんですよ……。ごめんなさいね」
それ以来、同じ質問を4年間で5回も受けたのです。
「うーん、4年間で5回も質問があったのか。ちゃんと研究してアドバイスできるようにしなきゃなぁ……。それにしても採用面接の専門家はいないのだろうか?」
私は人事分野が専門ではないので、そこからコツコツ研究しはじめたのですが、2年後には「良い人材の見極め方」としてノウハウ化することができたのです。それと同時期に、面接のノウハウだけでなく「求人広告の作り方」についても研究をしていました。
その後、それらのノウハウを教材化して販売を開始したところ、電子メールで既存の顧客に案内しただけで、すぐに500社ほどが購入してくれました。
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