ファンケル15年3月期、売上高4.3%減 池森会長「今後3年間は広告宣伝に積極投資」
ファンケルが2015年3月期決算と新中期経営計画を発表。苦戦する栄養補助食品関連事業を中心に積極的な広告投資を今後進めていく。
化粧品や健康食品などを販売するファンケルが5月11日に発表した2015年3月期通期の連結売上高は前年同期比で4.3%減の776億3200万円だった。栄養補助食品関連事業などの減収が響いた。
営業利益は40億100万円(前期比1.5%増)、経常利益は42億8300万円(同0.5%増)、当期純利益は23億100万円(同71.3%増)となった。原価率の改善で粗利が増加したほか、固定費やマーケティング費の削減が増益につながった。
化粧品関連事業は、売上高が前期比でほぼ横ばいの474億7100万円(同0.1%減)、営業利益は55億5700万円(同19.2%増)だった。全国約7700店舗のドラッグストアへ主力商品である「マイルドクレンジングオイル」および「洗顔パウダー」の卸販売を始めたことで国内販路が拡大したが、一方海外では台湾とシンガポールの現地小売りから撤退した。
栄養補助食品関連事業の売上高は消費税増税の反動などで232億8500万円(同8.3%減)、営業利益はマーケティング費が増えたことなどで400万円の赤字(前期は11億2500万円の黒字)に転落した。
今期の経常利益は61%減と予想
併せてファンケルは新たな中期経営計画(2015年度〜2017年度)を発表。戦略的な広告投資や出店強化などを進め、今後5年間で売り上げ倍増に向けた成長戦略を描く。
同社はこれまで売上高の10%前後を広告宣伝費に充てていたが、それとは別に今後3年間で化粧品に約50億円、健康食品に約150億円を追加投資する。特に地方でのブランド知名度向上を図りたい考えだ。それに伴い、地方都市を中心に出店を加速する。現在164の直営店舗を3年後には350店舗にまで伸ばす。
同日会見したファンケルの池森賢二会長兼グループCEOは「売り上げの20〜40%ほど広告投資する化粧品会社がある一方で、ファンケルは中途半端な広告投下にとどまっていた。また、特に地方での広告出稿量は少なかった」と説明した。
新中期計画の初年度となる2016年3月期通期の見通しは、売上高が前期比15.9%増の900億円、営業利益は同62.5%減の15億円、経常利益は同61.5%減の16億5000万円、当期純利益は同60.9%減の9億円と予想する。先行的な広告投資で利益水準が低下するが、2017年3月期以降は投資回収期に入り収益性が向上すると見ている。
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