菓子メーカー大手のカルビーは5月12日、2015年3月期通期の連結決算を発表した。売上高は前期比11.1%増の2221億5000万円、営業利益は同22.6%増の241億8300万円と従来予想を上回り、ともに過去最高を更新した。
経常利益は同23.3%増の256億1500万円、当期純利益は同16.8%増の141億1400万円と、こちらも2桁増益となった。
成長要因について、売り上げ面では、「堅あげポテト」「じゃがりこ」といったポテト系スナック商品が前期比で75億6400万円増、「フルグラ」に代表されるシリアル食品が同47億5400万円増、ポップコーンなどのコーン系スナック商品が同31億8100万円増とそれぞれが大きく伸びた。
利益面では、製造原価率の改善や販売管理費の効率化などのコストリダクション(費用低減)に努めたことに加え、利益率の高い北米地域のスナック商品である「Harvest Snaps」の販売が好調だった。
しかし、同日に会見したカルビーの松本晃会長兼CEOの表情は緩まない。「2015年3月期は10勝5敗」と松本氏は評価する。5敗の内訳は、中国事業の業績不振、北米市場での「Jagabee」の販売伸び悩み、国内での「じゃがりこ」の自主回収、野菜チップス「ベジップス」の低迷、そして営業利益率が前期比1%増の10.9%にとどまったことだ。同社は営業利益率15%を1つの目標に据えており、今後もコストリダクションを強化していく方針だ。
2016年3月期(今期)の見通しは、売上高が2400億円(前期比8.0%増)、営業利益が288億円(同19.1%増)、経常利益が280億円(同9.3%増)、当期純利益が158億円(同11.9%増)とする。主力のポテト系スナックやシリアル食品の販売拡大や、今秋を予定する筒入成型ポテトチップス市場への新規参入(関連記事)、フィリピンや英国の市場開拓を進めることなどで増収増益を見込む。
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