V字回復しつつある「クーリッシュ」のフレーバー展開が面白い:水曜インタビュー劇場(アイス公演)(3/7 ページ)
ロッテアイスの「COOLISH(クーリッシュ)」が、“復活”しつつあるという。発売当時(2003年)は爆発的に売れたものの、3年目以降は低迷。しかし、5年ほど前からV字回復傾向にあるという。その理由について、同社の担当者に聞いてきた。
商品開発のヒントに「爽」
土肥: 話は変わりますが、アイスクリームの形態って、数種類しかないんですよね。スーパーやコンビニの冷蔵ケースの中を見ると、カップ、スティック、コーン、モナカなどしかありません。しかし、クーリッシュは「飲むアイス」。競合他社から同じような形態のモノが出ていないのですが、なぜロッテアイスはこのような商品を出そうと思われたのでしょうか?
北村: クーリッシュは2003年に発売しましたが、当時のアイスクリーム市場は低迷していました。市場調査をしてみると、アイスクリームはデザートとしてはおいしくて最も人気がある。しかし、ペットボトルやチルドデザートに奪われつつあることが分かってきました。
アイスクリームをさまざまなシーンで楽しむことができれば、多くの人に支持されるかもしれない。まだまだアイスクリームファンは多いので、復活できるのではないか。これまでにない商品を開発できないか。このようなことを考えている中で、弊社の「爽」という商品に注目しました。爽の成分構成は、通常の2倍という濃いアイスクリームミックスに、微細な氷を混ぜるという方法を採用しているので、「これを応用することができないか」というところからスタートしました。
当時、チアパックに入ったゼリー飲料の人気が高かったので、「爽の微細氷をチアパックに入れたら、新しい市場を獲得できるのではないか」「ペットボトルに流れたお客さんを取り戻すことができるのではないか」という狙いがあって、クーリッシュを開発することになりました。
土肥: アイスクリームって夏の暑いときに食べたくなる人が多い。しかし、食後に喉が渇いてしまう商品があるんですよ。アイスを食べて、冷たい水を飲みたくなることがあるのですが、爽はそんな不満を解消するために発売されたんですよね。
爽の技術を取り入れたクーリッシュも“食後に喉が渇きにくい”のですが、中身はかなり似ているのですか?
北村: 近いですね。微細氷を使っている点は同じですが、チアパックからアイスをなめからかに出てくるように、配合技術を変えています。
土肥: 微細氷ってどういうモノなのでしょうか?
北村: 通常、かき氷は大きい氷を砕いて、シロップをかけたりしますよね。微細氷は砕いただけでなく、砕いた氷を高速で混ぜて、氷の角をとって丸くしているんです。一定の大きさにしていて、一粒約1ミリですね。角がとれた約1ミリの氷を使うことで、なめらかさを提供することができるようになりました。
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