V字回復しつつある「クーリッシュ」のフレーバー展開が面白い:水曜インタビュー劇場(アイス公演)(4/7 ページ)
ロッテアイスの「COOLISH(クーリッシュ)」が、“復活”しつつあるという。発売当時(2003年)は爆発的に売れたものの、3年目以降は低迷。しかし、5年ほど前からV字回復傾向にあるという。その理由について、同社の担当者に聞いてきた。
ソーダフロート味が売れた
土肥: 先ほど「配合技術を変えています」と話されましたが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
北村: 多くのアイスクリームはマイナス15〜19度で食べられているのですが、クーリッシュはマイナス8度で飲むことができるんですよ。他のアイスの場合、マイナス8度になれば「溶け気味」になるのですが、クーリッシュの場合はそれが「最適」なんです。
土肥: 同じ微細氷を使っている爽をそのまま容器に入れることはできるのですか?
北村: 爽のアイスをそのまま容器に入れても、飲み口からなめらかに出てこないので、商品化は難しいですね。以前、微細氷をほとんど入れずソフトクリーム色が強い商品を出したことがあるのですが、飲み口からアイスがなめらかに出なかったので、お客さんからの評判があまりよくなく……2年で撤退しました。
あと、クーリッシュは毎年5種類ほどフレーバー展開しているのですが、クーリッシュに合う味を見つけるのが大変なんですよ。
土肥: どういう意味でしょうか?
北村: クーリッシュには微細氷が入っているので、氷と合うモノでなければいけません。また、お客さんから「なめらかだな」と感じていただかなければいけません。以前、ソーダ味(2011年)を発売したのですが、売り上げは苦戦しました。その一方で、メロンソーダフロート味(2014年)はよく売れました。
土肥: メロンソーダフロートって、メロンソーダの上にアイスクリームがのっているモノですよね。喫茶店でよく見かけます。
北村: お客さんからはこんな声がありました。「ソーダ味は、ソーダの飲料を飲めばいい。メロンソーダフロート味は喫茶店にあるメロンソーダの味をうまく再現していて、おいしい」と。ソーダ味はなめらかさを感じることができなかったのに対し、メロンソーダフロート味はアイスクリームと微細氷との相性がよく、なめらかさを感じることができたのではないでしょうか。
土肥: 奥深いですねえ。ソーダとメロンソーダ……どちらがより飲まれているか。圧倒的にソーダを飲んでいる人が多いと思うんですよ。でも、クーリッシュの場合はメロンソーダをベースにした味のほうが人気が高い。お客さんは、日常では楽しめない味を求めているのかもしれませんね。
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