知らず知らずのうちに“あの本”を読んでいる? ビジネス書の10年を振り返る:水曜インタビュー劇場(読書公演)(4/7 ページ)
ビジネス書のベストセラーをみると、ちょっと気になることがあった。10年ほど前には「お金」に関する本が上位に並んでいるのに、いまは少ない。5年ほど前には「仕事術」に関する本が目立っていたのに、いまは少ない。その理由は……。
勝間和代さんの本が売れた理由
土肥: 景気が急速に悪化したので、会社も社員への教育や研修になかなか費用と時間をかけることができなくなった。上司は部下に対して「お前たち勝手にやってくれよ。成績を伸ばした者は評価するから」といった感じ。そうした中で、部下は「会社が面倒を見てくれないのなら、自分で自分の能力を高めなければいけない。じゃあ、『勉強本』『仕事術』の本でも読むか」となったわけですね。
そーいえば、このころから「上司から叱られなくなった」という人が増えてきたような。よーく聞いてみると、上司だけでなく、「取引先からも叱られることが少なくなった」という声をよく聞きました。これまで、日本の企業文化として、新人教育は会社だけでなく、取引先も担っていた部分があったと思うんですよ。出入り業者の新人がミスをすると、「そういうやり方はよくない。こうしたほうがいいよ」といった感じで教育していました。
しかし、このころから余裕がなくなってきたのでしょう。出入り業者の担当者を教育している暇があれば、自分は違う仕事をする。ミスを重ねる業者はさっさと取り引きを止めて、違う業者と取り引きを始めるといった動きが広まっていったのかもしれません。
苅田: 会社、上司、取引先などから仕事を教えてもらう機会が減った。こうした背景があって、自分の身は自分で守らなければいけないと思う人が増えた。その結果、カツマー本が売れた。勝間さんの著書が売れた理由のひとつとして、時代の波にうまく乗ることができことも大きいのではないでしょうか。
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