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知らず知らずのうちに“あの本”を読んでいる? ビジネス書の10年を振り返る水曜インタビュー劇場(読書公演)(5/7 ページ)

ビジネス書のベストセラーをみると、ちょっと気になることがあった。10年ほど前には「お金」に関する本が上位に並んでいるのに、いまは少ない。5年ほど前には「仕事術」に関する本が目立っていたのに、いまは少ない。その理由は……。

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2014年に売れたビジネス書


2014年、ビジネス書ベストセラー(トーハン調べ)

土肥: 次に2014年のトレンドを分析していただけますか?

苅田: 2004年にはお金持ちになりたい人が多かった、2008年には仕事ができる人になりたい人が多かった、そして2014年には仕事もプライベートもどちらも楽しみたいという人が増えているのではないでしょうか。例えば、2位には『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見一郎、古賀史健、ダイヤモンド社)、7位に『伝え方が9割』(佐々木圭一、ダイヤモンド社)、10位に『「考える力」をつける本: 本・ニュースの読み方から情報整理、発想の技術まで』(轡田隆史、三笠書房)がランクインしました。これらの本に共通しているのは仕事だけでなく、生き方全体に関することも触れているんですよね。

土肥: 苅田さんの話を聞いて、「そうかなあ」と感じている読者も多いかもしれません。というのも、人間って今自分が置かれている状況ってなかなか分からないものですよね。そこで、ここ数年、自分がどんな本を読んできたのかを振り返ってみるのもいいかもしれません。知らず知らずのうちに、仕事だけでなく日常生活も充実させようといった本を読んでいたとしたら、今の大衆が望んでいる“なりたい自分”になろうとしているのかもしれません。

苅田: 2014年のもうひとつの特徴は、『まんがでわかる7つの習慣』(監修・フランクリン・コヴィー・ジャパン、漫画・小山鹿梨子、宝島社)が大ヒットしたことですね。出版社にビジネス書のヒットの目安を聞いたところ、多くが「1万部」と言っていました。そうした中で、『まんがでわかる7つの習慣』は累計124万部以上を売り上げました。

土肥: いまさら7つの習慣? なぜ? と思ったのですが、よく売れましたね。

苅田: 書店やECサイトでも「まんがで読む〜〜」という特集がよく企画されていて、最近話題になったトマ・ピケティの『21世紀の資本』(みすず書房)も漫画化されました。このほかにも、たくさんの本が漫画化されているんですよ。

 漫画化された本はどういった人たちが買っているのか、調べたところ「働く女性」が多いんですよね。男性に比べて、女性は化粧品などにお金をかけている傾向があるので、本は趣味や実益の範囲でしか買わないという人が多かった。でも、漫画化された本が売れるということが分かったので、これからは女性向けのビジネス書が増えそうですね。

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