“あたらない”カキは作れるのか? オイスターバー最大手の挑戦:上場で研究開発を加速(1/3 ページ)
生ガキなどを提供するオイスターバーの市場が日本で急拡大しているのをご存じだろうか。過去5年間の平均成長率は11%を超える。そのけん引役として今年3月にマザーズ上場を果たしたのがヒューマンウェブだ。ただし、ここまでの道のりは決して楽なものではなかったという。
“The world is your oyster”(世界はあなたの思いのまま)――。英国の劇作家であるウィリアム・シェイクスピアの戯曲にこのような表現がある。これはあくまで比喩として使われているわけだが、そうでなくても牡蠣(カキ)は魅惑的な食材として、古くから多くの人々を魅了してきた。特に海外では生ガキを食べる文化が根付いており、オイスターバーなどのカキ専門店は多い。
日本では今までこうした業態は少なかったものの、近年は都市部を中心にオイスターバーが増えてきた。実際にオイスターバーの市場規模も急拡大している。リサーチ会社の富士経済の調査によると、2010年に64億円規模だったのが、2015年には111億円になると予測されている。過去5年間の平均成長率は11.6%と高水準だ。
その市場成長をけん引するのが、「ガンボ&オイスターバー」などの店舗ブランドを運営するヒューマンウェブだ。売上高は38億5100万円、経常利益は1億8400万円(2015年3月期 連結決算)と、オイスターバー業界の中でトップを走る。現在、首都圏をはじめ全国で10ブランド28店舗を展開しており、2015年3月には東証マザーズへ上場した。
2015年5月に同社が発表した中期経営方針によると、今後2年間で研究開発(R&D)など戦略的な投資に力を注ぎ、2019年3月期には売上高100億円、営業利益率8%を目指すとしている。店舗全体の客単価はランチが2400円、ディナーが5400円と決して安くないが、それでも既存店ベースでの来客数はここ6年間右肩上がりを続けているという。
こうしたビジネス成長の要因について、同社の吉田秀則社長は「商品の安心、安全を愚直に追求した結果。顧客の信頼という土台がなければ多店舗化はできないし、リピーターも増えない」と強調する。実はそうした安心、安全に対する取り組みの陰には、会社が瀕死に直面するほどの大打撃を受けた苦い経験があった。
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