世界で戦うために“やってはいけない”ことは? もっと「個」で行動しよう:日米のビジネス事情の違いを知る(後編)(2/5 ページ)
ビジネスを行う上で日本と米国ではどのような違いがあるのだろうか。前編では、キャリアパスの違い、ビザ取得の難しさなどを紹介したが、後編では……。
石渡: それにしても不思議なのは、どうして多くの日本人は、その希少価値を生かして個人で参加するのではなく、わざわざ集団で行動しようとするんですかね。SXSWはまさに典型例ですけれど、これだ! と思ったら団体ツアーを組んで行くなど、あの行動心理って何なんでしょう……。
関: そうしないと不安だからというのと、そうすることで得られる“メリット”があるからでしょう。もし私がSXSWの魅力にいち早く気づいた日本人で、ここはビジネスの場として生かせると判断したのだったら、あまり人に言わないでしょうね。だってSXSWに行ったら日本人が全くいなくて、日本人というだけでいろいろな話が来るんだったら、そんなにおいしいことはないですから。そこにわざわざ他の日本人と一緒に行くということは、その行為が自分にとっても“何かしらのメリット”があるんだと思います。
ただツアーを組んでまで行くというのは、経済合理性があまりなさそうですよね。そういう意味で日本人は、少しインセンティブに対して鈍感な気がします。儲け話があります=儲け話じゃない、とよく言われるのは、本当はそんな儲け話を人に伝えるのはおかしいからなんです。
石渡: ツアーで行ってよいことって本当にないですよね。例えば工場見学ツアー。よく中国でやっていますけれど、集団で行ってツアーに参加しても、相手企業から名前を覚えてもらえないですし、それって行かなかったも同然かな……と。
関: 本当に目的が視察だけなら、それでもよいと思います。もっとも後からビデオを借りて、内容をチェックするだけで十分かもしれませんが。
石渡: そうです。集団で行くくらいなら、後からビデオを借りたり、参加者のブログを読んだりすれば十分です。そうじゃなくて1人で行って、一緒に現地の人と行動するから価値があるんです。40人くらいで行って、わーっと騒いで終わったのではもったいないですよ。1対1とか相手が家族連れでも構わないので、一緒に食事するから有意義な話ができるし、お互いのパーソナリティが分かります。
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